2019年03月09日

花粉症、薬の剤型で効果が異なる!

今年も嫌な季節がやってまいりました・・・。

聞いたところによると、昨日は今年で1番花粉が飛散していたようで薬局に花粉症の薬を求めに来られる方が多く、他の相談で来られる方も鼻水に悩まされている方が多かったです。

これから暖かさが増すにつれて、不安になりますが、自分に適した薬を見つけましょう!

今週もリビング新聞(岡山)の「ここが知りたい漢方」の更新です(2019/3/9号)

漢方薬の剤型(煎薬、顆粒剤、錠剤)A.jpg

今年も花粉症の季節がやってきます。

既に症状が出て悩んでいる人もいるのでは?

花粉症はアレルギー疾患の一つ。

スギ花粉などのアレルギー物質が鼻や目の粘膜に付着すると、過剰な免疫反応によって症状が表れます。

花粉症の代表的な症状といえば、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。中でも、とめどなくあふれてくる水のような鼻水が特徴的です。

西洋医学では、粘膜の過敏性を少なくする抗アレルギー剤などで一時的に症状を抑えます。

一方、漢方では体質改善を目指し、症状が出なくなることを目的にします。

さらさらした鼻水が垂れ、くしゃみが出て困るような時によく用いられる漢方薬に、小青龍湯
(しょうせいりゅうとう)があります。 

この薬は、体の中から温め、鼻水やくしゃみなどの体内の余分な水分を排出してくれる生薬(しょうやく)から構成されています。 

小青龍湯のほかにも、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)や葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうか
せんきゅうしんい)など、花粉症の症状に用いられる薬は多くあります。

その中から、飲む人の症状や体質に適するものを選ぶことが大切です。 

もし、錠剤や粉薬の小青龍湯を試して効果がなければ、漢方薬本来の形である煎じ薬で試してみるのもよいでしょう。

私自身、花粉症で困っている時、粉薬では症状が治まりませんでした。

そこで、粉薬で飲んだ漢方薬を煎じて飲んだところ約10分後には症状が治まった経験があります。

薬の剤型によって効果が異なることを身をもって実感できた貴重な経験ですが、改めて驚いたものです。

花粉症では、漢方薬は西洋薬の対症療法のような即効性が望める場合ばかりではありません。

通常は1〜2週間以内に効果が実感できる場合がほとんどですが、体質改善を目的とするなら長く飲み続けた方がよいでしょう。

漢方薬は西洋薬との併用も可能です。

継続していくうちに、次第に西洋薬の必要性が減り、最終的には漢方薬も不要になるでしょう。

(北山 恵理)

2019年02月23日

胃腸の不調を訴える人に…

ツムラの漢方薬の中で出荷量が1番多いらしい大建中湯。

出荷量が多いので無難に使用できる薬と思われがちですが、お腹に熱をもっている場合などに使用してしまうと逆効果。

結構な悪影響が出てしまいます。

名前をよく聞く薬でも、体質や症状に合わせたものを試さないとダメです。

さて、大建中湯について今週のリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(30/2/23号)

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まだまだ風邪をひいたり体調を崩す人が多いこの時季。

また、冷えたことが影響して、胃腸の働きが弱り不調を訴える人も多いようです。

冷えたおなかを温めるときには、大建中湯(だいけんちゅうとう)という漢方薬がよく用いられます。大建中湯は、山椒(さんしょう)・乾姜(かんきょう)・人参(にんじん)・膠飴(こうい)の4種類の生薬(しょうやく)から構成されます。  

この薬は、中国・後漢の時代に張仲景(ちょうちゅうけい)が著したとされる医学書「金匱要略(きんきようりゃく)」に収載されています。

手足やおなかが冷えて、ガスがたまって苦しく、便秘傾向にある人に適することが多い薬です。

激しい場合には、嘔吐(おうと)して、痛みがひどく腹部に手を触れることすらできないような症状にも用いられます。

最近では、このような大建中湯を使う目標となる症状が腸閉塞の時に生じる症状と似ていることから、西洋医学の現場でも登場することの多い漢方薬となりました。

外科手術の後に、腸閉塞の予防で大建中湯を服用するのです。

しかし、誰にでも大建中湯が適するとは限りません。

大建中湯のほかにも、腹部を温めて不調を改善する漢方薬は、人参湯(にんじんとう)、真武湯(しんぶとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)など多くあります。

漢方の専門家に相談して最適な漢方薬を利用しましょう。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−よもやま話−

2019年02月18日

自律神経失調症と肝臓は関係しますか

古代の中国の思想に五行説というものがあります。

五行説はいろいろなものと関連しており、人の体も例外ではありません。

が、五行説に出てくる五臓と、私たちの体内の臓器は全く別物です。

詳しくは、今週のリビング新聞をどうぞ。

漢方Q&A(2019/2/16号)の更新です。

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Q.自律神経失調症と肝臓は関係しますか?

 イライラして動悸(どうき)や不眠があり、自律神経失調症といわれました。ある人に肝臓が悪いからだといわれましたが、どうでしょうか。(54歳、女性)

A.五行説の肝は肝臓のことではありません

 治したい症状を相談すると、西洋医学の検査では異常がないのに、肝臓や腎臓が悪いといわれたという人がいます。あなたもその一人ですね。

 さて、古代の中国の思想に五行説というものがあります。万物を木、火、土、金、水の5つの要素に分けて、お互いに影響し合うという考え方で、政治や宗教を含めて、すべての分野に取り入れられた時代があります。

 五行説は医学にも影響を及ぼし、内臓全体のことを五臓六腑といい、五臓は肝、心、脾、肺、腎に分けられました。

 これらは、肝臓、心臓などと西洋医学で内臓の名前に使われているため誤解されやすいのですが、漢方では、体のさまざまな働きを振り分けて名前を付けたもので解剖学的な臓器のことではありません。「肝、心、脾、肺、腎」と「肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓」は同じものではないのです。

 五臓の肝は、ほぼ西洋医学の肝臓の働きに加えて精神の活動に大きく影響し、感情や自律神経の働きと関係しています。 また、人の感情は、五行では、肝、心、脾、肺、腎を、それぞれ怒、喜、思、憂、恐と関連づけて五情といいます。

 ですから、イライラして怒りっぽくなることを漢方では肝の病ということがあります。

 ちなみに、肝は疳(かん)や癇(かん)につながり、疳が強いとか、癇に障るなどといい、共に怒りやすいことですね。

 漢方には癇症という病名もあります。古くは癲癇(てんかん)のことでしたが、後に怒りっぽいことやいら立ちやすいことをはじめとして、物事が気になったり、ささいなことで悩んだりなど、感情の偏りを広く意味するようになりました。これらは解剖学の肝臓の機能とは直接関係はありませんので、検査もしないで肝臓が悪いといわれたことは気にしないでよいでしょう。

 肝と肝臓に限らず、五臓と西洋医学の臓器を混同することは避けたいものです。

 五行説と漢方の関わりですが、漢方の基になった明の時代(1368〜1662)の中国医学には五行説が取り入れられていました。

 江戸時代に中国医学が変革して日本独自の医学である漢方になっていく過程で、五行説を重視した後世派(ごせいは)よりも経験を重んじた古方派という流派が効果を上げる時代がありました。後に、両派の長所を取り入れた折衷派が漢方の主流になりましたが、五行説は以前ほど重んじられなくなりました。

 現在の漢方でも、やはり折衷派が主流ですが、経験を重んじた効果的な漢方薬の使い方に加えて、五行説の一部が活用されています。

(北山進三)

posted by なつめ at 12:02| リビング新聞−漢方Q&A−