2017年09月23日

物忘れ≠ノ効く「遠志」とは? !

1度覚えたら忘れない頭が欲しいと昔から願っていましたが、一向に叶う様子はありません。試験の時にはドラえもんに出てくる「暗記パンがあれば・・・」とずっと思っていました。しかし、あれって短期間しか記憶がもたないんですよね。

先週末は台風が珍しく岡山を直撃してました。

上手いことそれてくれて、「さすが晴れの国おかやま!」と言いたかったのですが残念です(;ω;)

さて、今週もリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(29/9/23号)

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医薬品として、物忘れに対する効能を取得した「遠志(おんじ)」という生薬(しょうやく)が、最近注目を浴びています。

遠志は、ヒメハギ科のイトヒメハギの根を薬用部位として用います。

精神を安定させる作用に加え、強力ではないものの去痰(きょたん)作用もあるとされています。 

漢方薬は数種類の生薬から構成されるため、遠志を単独で用いることはありませんが、物忘れの症状に用いる漢方薬の中に、遠志を含むものがあるので紹介します。

代表的なものでは「帰脾湯(きひとう)」という薬があり、宋の時代の医学書『厳氏済生方(げんしさいせいほう)』に載っています。

しかし、当初の帰脾湯には、遠志が含まれておらず10種類の生薬で構成されていました。

遠志は明の時代以降に、当帰とともに加えられたのです。

それが現在の帰脾湯の基になっており、遠志、竜眼肉(りゅうがんにく)、酸棗仁(さんそうにん)など精神に作用する生薬をはじめ、実に12 種類もの生薬から構成されています。

虚弱体質で貧血傾向にあり、不安、健忘、不眠などの症状がある人に適することが多い薬で、月経不順、子宮出血などにも用いることもある応用範囲が広い薬です。

物忘れに対する漢方薬は帰脾湯だけではなく、その中に遠志を含まない漢方薬も多数あります。

漢方薬を試す際には、遠志の効能にこだわりすぎず、専門家に相談するのがよいでしょう。

(北山 恵理)

posted by なつめ at 16:07| リビング新聞−よもやま話−

2017年09月14日

師匠と漢方勉強会へ。

先週の日曜日は大阪の勉強会に師匠と参加してきました!

私は午前中友人の結婚式があったので、少し遅れての参加でした。

今回も、あーだこーだと漢方について語り合い・・・Y先生と師匠の掛け合いも面白く・・・

こちらは勉強会の1コマです。

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師匠が黒板に書いているのは理論が大切だということではありません。

「傷寒論や万病回春、古今方彙など色々な古典の処方や主治を学び、お客様から教えていただいた臨床の経験を踏まえて自分なりの漢方薬の使い方を学んでいけばよい」

「漢方の世界では理論は経験から創られたものなので、理論は大切だけども応用は難しい。実際に目の前で起こっているものを注視しないで、理論ばかりに振り回されてはいけない」

ということを説明している場面です。

師匠が黒板に書いた、漢方を学ぶ上でのバイブルとされている『傷寒論(しょうかんろん)』。

そこには113処方の漢方薬が載っています。

113処方という数を聞いて「多いな」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、『傷寒論』の「傷寒」とは風邪の症状や発熱を伴う感染症などの急性熱性疾患のこと。

現在では風邪や感染症などの急性疾患には西洋医学で対応することが多く、『傷寒論』に載っている113処方の出番が多いわけではありません。

また、現在保険適用されているエキス製剤(錠剤や顆粒剤)は148処方あり、そのうち30処方程度がこの『傷寒論』に載っている漢方薬です。

現在でも風邪(傷寒)によく用いられる葛根湯や麻黄湯、麻黄附子細辛湯などは病院でもらったことのある方も多いのでは?

ですが、私たち漢方家が『傷寒論』だけを読み込んだところで保険適用されている1/5程度の処方にしかなじめませんし、その30処方も使用頻度が高いものばかりではありません。

師匠は常々「色々な古典に慣れろ」と言っています。

漢方を学ぶ上で、古典から得られることがすごく多いのです。

そして、勉強会後の親睦会に参加されていた先生方の中に、師匠がうなるほどの知識と経験をお持ちの先生がおられました。

折衷派の師匠と、古方派のその先生とで話は盛り上がり、親睦会の間に何度も握手を交わしていました(*^_^*)

流派は異なれど臨床で活躍されている先生とは通じることが多く、「あの先生は素晴らしい先生だ!!」と師匠は岡山に帰ってきても興奮さめやらぬ様子。

親睦会から5日も経つのにまだ感激が残っているようで・・・(笑)

私はというと、大阪の勉強会に行くたびに刺激をもらっています。

近くとも遠くとも、同じ方向を向いて頑張っている仲間がいるということは素晴らしいことですね。

posted by なつめ at 10:52| 日記

2017年09月02日

漢方薬をたくさん飲んでも大丈夫?

毎年夏になると、ご自身で栽培されているサギソウを届けてくださる方がおられます。

サギソウという名前の通り、白鷺が翼を広げたような可愛い花を咲かせるので見る度に癒されます(*^_^*)

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可愛いですよね(*´艸`*)

今では準絶滅危惧種になってしまっているそうで、自生しているサギソウには中々出会えないかもしれないですね・・・。

さて、今月のリビング新聞の漢方Q&A(29/9/2号)の更新です。

Q.漢方薬をたくさん飲んでも大丈夫?

 大阪に住んでいる妹が、4種類の漢方薬と3種類の健康食品を勧められて飲んでいます。一度にこんなにたくさん飲んでもよいのでしょうか。(57歳、女性)

A.1人が飲む漢方薬は1種類が原則です

 詳しいことが分かりませんので、一般論を述べさせていただきます。

 私の知る限り、1人が飲む漢方薬は1種類が原則です。体質や症状などに適した漢方薬を選ぶのです。寿元堂薬局の経験でも85%以上の人に1種類の漢方薬で対応しています。

 中には2種類の漢方薬を飲んでいただくことがありますが、それは次のようなケースです。

 @複数の病気や症状があり、複数の漢方薬で対応せざるを得ない
 A体質や症状などに適した漢方薬が製剤にない場合、2種類の漢方薬を組み合わせて別の内容の漢方薬として使用する
 B1種類の漢方薬で対応が難しい症状に、2種類の漢方薬を使って効果を高める

 このように、2種類の漢方薬を必要とすることはあっても、4種類もの漢方薬を一度に使うことは通常では考えにくいことです。また、漢方の効果を知る専門家が健康食品やサプリメントを利用することは極めてまれです。まして3種類も飲んでいることには大きな疑問を感じます。

 さて、漢方薬が普及している現在でも、「漢方とは何?」と問われて正確に答えられる人はほとんどいません。漢方は古い時代に渡来した中国医学が日本の風土や日本人の体質に適するように変革した日本人のための医学であり、中国の医学とは別のものです。

 現在の日本で漢方薬≠扱う人たちは大ざっぱに次のように分類できると思います。

 @日本の伝統医学である漢方の専門家
 A中国医学の専門家
 B西洋医学の考え方で漢方薬を扱う人
 C健康食品やサプリメントと同じように漢方薬を扱う人

 それぞれの是非はどうあれ、漢方という医学の考え方によって漢方薬の効果を追求しているのは@だけです。

 しかし、漢方を知らない人には、@からCまでのすべてが漢方の専門家≠ノ見えるようです。

 漢方を修得することは難しく、学ぶ機会も全国的に極めて少ないために伝統ある漢方医学の継承者は激減しています。

 ところが、漢方≠標榜することはたやすく、漢方薬を使うことが漢方医学だと錯覚している人があまりにも多いのです。学びやすい安易な使い方による漢方薬の効果≠ェ一般化した結果、漢方本来の効果を知らない人が増えてしまいました。今では漢方薬の合理的な使い方と漢方本来の効果が忘れられようとしているのです。

 このようなことから、妹さんがお世話になっている人は、漢方の専門家ではないと思われます。

 漢方薬については、やはり専門家を探して相談なさるとよいでしょう。

(北山進三)
posted by なつめ at 15:39| 漢方