2016年06月25日

皮膚の症状に使われる漢方薬(消風散)

今年の梅雨の雨の勢いがすごいですねヽ(*'0'*)ツ

リビング新聞の漢方よもやま話の更新です。(28/6/25号)

167672.jpg

進学や就職などで今春から生活環境が変化してしまったという人も多いことでしょう。

そして、梅雨入りと同時に急に気温が高くなってきました。

それらのためか、アトピー性皮膚炎の悪化や湿疹が慢性化して治まらないという人が増えています。

今回は、皮膚の症状に使われる漢方薬の消風散(しょうふうさん)を紹介します。
 
消風散は、中国の外科医の陳実功(ちん・じつこう)により1617年に著された「外科正宗(げかせいそう)」に記載があり、分泌物が多く、痒(かゆ)みの激しい皮膚の症状に適するとされます。

患部は分泌物でじゅくじゅくして瘡蓋(かさぶた)ができ、見た目が汚く、地肌に赤味を帯び、痒みが強く、口の渇きを訴える人が目標とされ、夏に悪化する症状に適するとも記されています。 
 
しかし、実際に消風散に適するのは、このような症状に限りません。夏以外に悪化する症状や、潤いを補ったり熱を取ったりする作用などもあるため、分泌物はなく乾燥傾向のある人、患部に熱を持つ人などにも使われ、効果を発揮しています。応用範囲のとても広い漢方薬なのです。
 
消風散以外にも皮膚の症状に使われる漢方薬はたくさんあり、それぞれに適する症状があります。

時には漢方薬の軟こうを使用するだけで改善する場合もあります。
 
なかなか治まらない場合には、一度漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。

(北山 良和)
posted by なつめ at 12:15| リビング新聞−よもやま話−

2016年06月18日

7種の生薬のコラボレート効果

雨が降らなくても湿気が多く、じめじめしますね…

リビング新聞の漢方よもやま話の更新です。(28/6/18号)

446586.jpg

漢方薬には、葛根湯(かっこんとう)という処方があります。皆さんも一度は聞いたことがあると思います。

比較的体力があり、首筋や背中にこわばりがあり、発熱しているけれど汗をかかず、悪寒がする人に適することが多い漢方薬です。

葛根湯には、葛根、麻黄(まおう)、大棗(たいそう)、桂枝(けいし)、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)の7種類の生薬(しょうやく)が含まれています。

生薬といえばなじみのないものに思えるかもしれませんが、これらの生薬は私たちの身近にあるものです。

葛根は料理やお菓子に用いられるくず粉の原料ですし、大棗はナツメの果実のことです。

桂枝はシナモンとしてよく知られ、生姜はショウガ。日常の食卓でもよく目にする食材です。

普段の食事に用いられるものも含まれていることから分かるように、漢方薬に含まれる生薬一つ一つの作用は、決して強いものばかりではありません。

何種類かの生薬が組み合わさることで、効果のある漢方薬となるのです。

葛根湯は7種類の生薬が組み合わさることで、風邪の引き始めなど、病気に勢いのある時に、その勢いに負けない速効性のある漢方薬になります。

しかし、いくら速効性を実感しやすい漢方薬でも、その人に適する薬を選ばなければその効果は得られません。

漢方薬を試す際は、一度専門家に相談してから服用しましょう。 

 (北山恵理)
posted by なつめ at 18:40| リビング新聞−よもやま話−

2016年06月04日

健忘を改善する漢方薬がありますか?

6月に突入し、梅雨入りも間近。

紫陽花があちらこちらで咲き乱れていて綺麗ですね。

うちの庭の紫陽花も満開です。

さて、リビング新聞の漢方Q&Aの更新(28/6/4号)です。

あじさい.jpg

Q.健忘を改善する漢方薬がありますか?

 最近物忘れが多いことに気がつきました。健忘に漢方がよいと聞いたことはありますが、実際にはどうでしょうか。何かよい漢方薬がありますか。(78歳・男)

A.ひどいほど効果が分かりやすい

 よく物忘れすることを健忘といいますが、漢方では善忘(ぜんぼう)、喜忘(きぼう)ともいいます。健忘について江戸時代の漢方書には「忘れるほうへ健かなこと」とあり、善忘、喜忘は「みごと善(よ)く、または喜(よ)く忘れるの意」と書かれています。

 そして「健忘を含めた精神は心の病だが、その変調の原因は、瘀血(おけつ)や胎毒などさまざまなので、一人一人に適した薬を選ぶ必用がある」としています。

 また、ある書には、健忘が激しくなると「夕べに朝(あした)の事を忘れ、朝に夕べの事を忘れ、甚しき者は今言った事を直ちに忘れて同じ事を幾度も言い、今聞いた事を直ちに忘れて幾度も問い返してやまない。妻子を呼ぼうとしても名前を忘れて急に思い出せないようになる」などと書かれており、これは今の認知症の症状と思われますし、「人は老衰すれば病気がなくても多くは健忘を免れない」とあります。

 このような記載は多くの古典に残されており、さまざまな漢方処方が工夫されています。漢方では古くから健忘の改善に力を注いできたのです。

 さて、現在健忘が日常生活に不都合を生じて問題になるのは高齢者がほとんどでしょう。

 高齢者の健忘の改善に、今でも手軽に使える漢方薬の範囲では、帰脾湯(きひとう)をはじめ、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、六味丸(ろくみがん)、八味丸(はちみがん)などがあります。

 帰脾湯は、高齢によって体が弱り、疲れやすい人に用いて心身の元気を穏やかに補いながら健忘を改善します。帰脾湯が適する状態よりも元気のない人には補中益気湯、肉体が衰弱している人には十全大補湯、六味丸、八味丸が適することが多いものです。

 帰脾湯には、健忘のほかにも怔忡(せいちゅう)という症状を治す効果もあります。

 怔忡とは、胸騒ぎがして不安に感じる心理状態のことです。ある古典には、「気持ちがざわざわして落ち着かず、動悸(どうき)も打ち、びくびくする」「胸が騒いでイライラする。気分が穏やかにならない」などと書かれています。

 不安を取り除いて精神を安定させる作用がある帰脾湯は、高齢者の心の健康の維持にも役立つというわけです。

 昔は医療が今ほど普及していなかったこともあり、健忘の症状が病気だと分かるほどひどくなってから対応していたと思われますが、現代では早めの対策を考えてもよいでしょう。詳しくは専門家にご相談ください。

(北山進三)

posted by なつめ at 15:10| リビング新聞−漢方Q&A−