2018年05月26日

皮膚の疾患を持つ人につらい夏

うちの庭の草木と今年の気候が合っていたのか、お庭の草木がすくすく育っており例年より青々しています。

あじさいもいつもの2割増しくらいの高さに!( ̄□ ̄;)!!

一方、人はというと、暑かったり涼しかったりで絶不調の方多し…。

皆様、養生してくださいませ。

さて、これから暑くなると皮膚の症状は悪くなりがちです。

皮膚の病気について、今週もリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(30/5/26号)

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暑い日が続くと夏目前を感じます。汗をかきやすくなり、皮膚に症状を持つ人にはつらい季節の到来でもあります。

皮膚の疾患に利用される多くの漢方薬の中に、消風散(しょうふうさん)と温清飲(うんせいいん)があります。

消風散は1617年に著された中国の医学書「外科正宗」に記載されています。

かゆみが強い、分泌物が多くかさぶたになっている、口渇がある、地肌に赤みがある、夏に悪化しやすい皮膚の疾患に利用されます。

一方、温清飲は明の時代の医学書「万病回春」に記載されていて、かゆみが強い、分泌物は少なく乾燥している、のぼせやすい、冬に悪化しやすい症状に利用されます。

しかし、かゆみが強く乾燥していて、冬に悪化しやすい人に消風散が効果的なことがあるなど、実際には区別できる場合ばかりではないのです。

ちなみに、温清飲はもともと崩漏(ほうろう・子宮からの出血過多)に利用されていましたが、いつの頃からか皮膚症状にも利用され、皮膚の漢方薬としても認識されるようになりました。

じんましんやアトピー性皮膚炎などは、数十年前なら西洋医学で症状を抑えている間に自然に治るものが多くありました。

しかし、今では西洋医学だけでは改善しにくい頑固な症状が増えています。

漢方薬を併用することで改善が見られることは多いものです。

一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

(北山 良和)
posted by なつめ at 18:00| リビング新聞−よもやま話−

2018年05月19日

この時期気になる気象病

昨年のこの時期「気象病」という聞き慣れない言葉がテレビから聞こえてきて、思わず振り向いて番組を見たことを思い出します。

今は科学の発展のスピードも速く、次々と新しい分野や診断名が生まれています。

その中には、先人達が素晴らしい観察の目をもって培ってきた東洋医学での経験と知識が、改めて科学によって解明されているものも少なくありません。

気象病もその1つ。

ただ、その根本的な原因がはっきりと解明されているものは多くはありません。

東洋医学、西洋医学、どちらが優れているのではなく、どちらも素晴らしいものです。

不調を感じたら、どちらも試して自分に合ったものを見つけていきましょう。

「気象病」をテーマに、今週もリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(30/5/19号)

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例年よりも早く沖縄が梅雨入りし、湿気も増してきました。

湿気が多い時期、めまい、関節痛、胃腸の不調などの症状に悩まされる人は少なくありません。

気象の影響によって発症したり、症状が悪化したりするものは「気象病」と呼ばれています。

「梅雨時期に古傷が痛む」「雨の日は頭が痛くなる」などの症状が当てはまり、最近では西洋医学で「気象病外来」が登場して話題になりました。

一方、漢方では湿気に中(あた)ることで病むことを「中湿(ちゅうしつ)」といいます。

古い医学書の目次の項目の一つにも挙げられており、中湿に対する先人の知恵と経験を知ることができます。

中湿の症状を改善する漢方薬の代表的なものを紹介しましょう。

二陳湯(にちんとう)は、嘔吐(おうと)やめまい、動悸(どうき)などに用いられることが多い漢方薬で、体内の水の偏りを調整する多くの薬の基となる処方です。

五苓散(ごれいさん)は、嘔吐や下痢などの胃腸の不調に用いられる漢方薬です。

尿量が少なく、口渇のある人に適することが多い薬です。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、変形性膝関節症、多汗症などに用いられる漢方薬です。疲れやすく、下半身がむくみやすい人に適することが多い薬です。

中湿といっても、症状の出方は人それぞれです。

漢方薬は、専門家に相談して適したものを選びましょう。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 15:00| リビング新聞−よもやま話−

2018年05月12日

糖尿病に漢方薬の作用、効き方は?

皆様、GWは存分に楽しまれましたでしょうか?(*^_^*)

途中、雨が降ったものの、お出かけ日和でしたね!

お休み明けも、リビング新聞の漢方Q&A(2018/5/12号)の更新です。

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Q.糖尿病に漢方薬の作用、効き方は?
 
 糖尿病は食事療法(カロリー制限)と運動療法が治療の柱だといわれますが、漢方では予防的な使い方でしょうか。漢方薬の場合、どのような作用、効き方をするのですか。(35歳、女性)

A.長年使われてきた信頼性の高い薬も

 糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上昇する病気です。血糖値を調節するインスリンの働きが悪くなって起こります。

 糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型はすい臓にあるインスリンを作る細胞がインスリンを作れなくなることで発症します。2型は、遺伝や食生活の乱れ、ストレスなどの影響でインスリンの量や働きが低下して起こります。日本では糖尿病のほとんどが2型です。2型糖尿病の初期には自覚症状がないことが多く、健康診断や人間ドックで見つかることがあります。

 糖尿病の予防と治療には食事療法と運動療法は欠かすことができないものですが、必要であれば血糖降下剤やインスリン製剤などの薬物療法が取り入れられます。

 では、漢方はどうでしょうか。漢方薬を飲んでも食事療法と運動療法の重要性が変わることはありませんが、漢方薬を飲むことによって予防効果が高まり、病気の改善に役立ちます。

 効果の出方には当然個人差があり、気長に飲んで悪化の進行を遅らせるという効き方から、数カ月という比較的短期間で検査値が改善するケースなどさまざまです。

 さて、漢方薬は糖尿病にはこの薬というように、西洋医学の病名で使う薬を判断することはしません。そして、漢方薬の作用は科学的にはまだ分かっていません。長年の間に蓄積された経験を踏まえた使い方をして、全身状態に適した薬を利用して体を整えます。

 簡単に例えれば、全身の状態の中に疲れやすくて手足が火照るという症状がある人が漢方薬を飲んで症状がなくなり体調がよくなったとします。その人が仮に糖尿病であったとすれば、結果的に糖尿病の改善に役立つことになるのです。

 とはいえ、糖尿病になる人には、体質と症状に似た傾向があるので、使われる漢方薬もある程度限られてきますが、漢方が盛んな時代には現在使われている漢方薬よりもはるかに多くの処方が使い分けられていました。

 例えば、糖尿病の典型的な症状である口渇と多尿を消渇(しょうかつ)といいますが、江戸時代を代表する処方集「古今方彙(ここんほうい)」の消渇の項目だけでも13処方が記載されています。その中で現在もよく使われる八味丸(はちみがん)は、中国の後漢の時代から2000年にもわたって使われてきた信頼性の高い薬です。

 その他、大柴胡湯(だいさいことう)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、六味丸(ろくみがん)などが使われることがあります。

(北山進三)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−漢方Q&A−