2018年10月10日

生薬探偵とサルナシ狩りへ!

薬局のお休みを利用して、生薬探偵こと濱口さんとサルナシを収穫してまいりました!!

以前、濱口さんにサルナシをつけたお酒をいただいて、その味の虜になってしまった私。

濱口さんにわがままを言って、サルナシ狩りに連れて行っていただきました!!

サルナシは貝原益軒の著書の1つである大和本草にも登場します。

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このようなコロっとした可愛い果実をつけます。

熟した実は甘く、子供たちが好んで食べていたようですね。

マタタビ科のマタタビ属のつる性植物で、他の植物にまきついて上へ上へとのびていきます。

猫が好きなマタタビとよく似ていますが、マタタビは黒い雄しべ、サルナシは黄色い雄しべなので花で見分けるのが簡単だそう。

という前情報を生薬探偵に教えてもらいながら、サルナシスポットへ♪

とはいえ、猛烈な台風の影響などで道が崩れているところもあり、大体の目星をつけて果実は歩いて探します。

そんなところにヤマノイモと遭遇。

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ハートの葉っぱで可愛い♡

葉の付け根にムカゴもなっていたので、サルナシを発見できなかった時のためにGETしておきました(笑)

中を割ってみると、ヤマイモみたくねばねばが・・・。

味もヤマイモみたいにサクサクして美味しい。

ムカゴに満足していると、サルナシの現物を見ないと発見できないだろう、とのことで既に濱口さんが採取した後のサルナシスポットへ。

実際の葉やツルの感じをつかみに既に濱口さんが採取した後のサルナシスポットへ向かいます。

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手が届かないところに実が(ピンクの円部分)・・・残念(笑)

収穫できる果実はなかったものの、サルナシの葉っぱをGETして再出発です。

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探している途中にはこんなものも。

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イタドリ。生薬では虎杖根(こじょうこん)。

ちなみに、この日は色んな大きさのイタドリに出会うも1度も気づかず・・・なんとも情けない・・・(;ω;)

そんな中でもサルナシハンターとして覚醒している濱口さんは、話をしながらも「あそこは怪しい・・・どうや!?」と新規スポットを開拓すべくサルナシの果実のありそうなところを次々に発見していきます。

私は生薬探偵さんに言われて初めて注意がそちらにいく始末・・・トホホ・・・。

しかし、「どうや!?」といって注意深く見た中には、上の方へ実はなっていても手の届く範囲のものは既に収穫されているのか、実がついていなかったりで中々収穫活動には至りません。

何度目かの「どうや!?」の中に、手の届くところに(といっても、濱口さんが持参された高枝ばさみは必須)大量の果実がなっているサルナシの木を発見!!

高枝ばさみで切り取った果実を、もう1人が網で受け止めるという東京フレンドパーク(若い人はわからないですかね?今でいうとVS嵐??)さながらのゲーム感覚でサルナシを収穫していきます。

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これは濱口さんが1人で枝を切って、網に受けるという偉業を成し遂げているところです。

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そうして収穫したサルナシは、総量1.6kgほどっ!!

現在、水洗いをしてもう少し熟すのを待っているところです(*^_^*)

サルナシを収穫した後は何ともお洒落な山の中のカフェに連れて行っていただき、そこでも薬草講義を受けてきました(笑)

牛膝
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3枚葉の葛根
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など、普段ならすぐそばを通っても気づかないようなものから、ぱっと目を引くものまで本当に様々なものがありますね。

ヨウシュヤマゴボウ
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ヨウシュヤマゴボウは、結実しているもののすぐ近くに結実していないものもあり不思議な感じ。
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よく似たもので、枝状の花が上向きのヤマゴボウもあるそう。

どちらも毒なので注意。

サルナシをGETし、生薬探偵の講義を独り占めし大変贅沢な時間を楽しませていただきました。

さぁ、サルナシを漬けなければっ!!
posted by なつめ at 16:00| 日記

2018年10月06日

漢方薬本来の効果は、病名漢方≠ナは無理

「漢方薬には副作用はありませんか?」と、よく尋ねられます。

漢方薬を服用する人の体質を考慮して薬を選んでいくため、ほとんどの場合において副作用を恐れる必要はないでしょう。

しかし、副作用と間違えられやすいものには、誤治(ごち)や瞑眩(めんげん)があります。

体質や症状を総合して判断する証は正しいけれど、症状が治癒する前に一時的に悪化する「瞑眩」や、漢方薬が正しく用いられない「誤治」の結果で起こる不都合な症状を副作用と思われるのは非常に残念です。

今週もリビング新聞(岡山)の「ここが知りたい漢方」の更新です(30/10/6号)

漢方薬の剤型(煎薬、顆粒剤、錠剤)A.jpg

最近、漢方薬は随分と普及しています。

ところが、日本の伝統医学である漢方薬本来の使い方をされていることは、残念ながらいまだに少ないものです。

漢方薬は「風邪には葛根湯(かっこんとう)」というように、病名で選ぶものではありません。

「この病気にはこの漢方薬」という単純な決め付けを、私たち漢方家は病名漢方〞と名付けて
います。

本来の漢方薬の使い方であれば、同じ風邪でも発熱しているか、首や肩が凝っているか、寒気がするか、頭痛がするか、鼻水がひどいか、胃腸の調子はどうかなど、症状と体質を考慮して薬を選んでいかなければなりません。
 
昭和61年「小柴胡湯(しょうさいことう)」という漢方薬が慢性肝炎での肝機能障害を改善すると発表されました。

漢方薬は飲む人の「証(しょう)」によって薬を選びます。
 
ですから、小柴胡湯の仲間である体力のある人向けの大柴胡湯(だいさいことう)や、体力がない人向けの柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)などが同じように使用されていなければおかしいのです。

しかし、実際の現場では、飲む人の体質を軽んじた「肝機能障害には小柴胡湯」といった認識で漢方薬が扱われてしまいました。

その結果、前年まで使用量トップだった葛根湯を抑え、小柴胡湯の使用量がトップに躍り出たのです。

このような使い方をしても不都合なことがなければよかったのですが、残念なことに間質性肺炎という副作用が問題となってしまいました。

国も西洋医学とは異なる漢方薬の使い方があるとし、平成9年には薬の説明書である「添付文書」に、「患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること」という一文が加えられました。

このように、漢方薬が正しく用いられない結果で起こる不都合な症状を副作用と思われるのは残念です。

漢方薬は病名漢方〞でなく、漢方という医学の考え方で扱ってこそ、本来の効果を実感することができるのです。

(北山 恵理)