2019年01月26日

解毒、解熱に使われる忍冬

皆様、花粉症の症状出ていませんか?

暖かい日に花粉症の症状を訴えられる方、多いです!!

こんな1月末に花粉症の症状が起こるなんて信じられないという人も少なくなく、皆さん風邪なのか花粉症なのか、はたまた新しい不調なのか不安になって薬局にかけ込まれてきます。

花粉、飛んでいるんでしょうね・・・暖冬、恐るべし。

しかし、この週末は寒波が襲ってくるようです。

皆様ご自愛くださいね。

さて、今週のリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(31/1/26号)

8e397a2d4aa78c397eccd094c0e0e2c0_m.jpg

今年は暖冬といわれていますが、やはり冬の寒さは厳しいものです。

漢方薬の原料になる生薬(しょうやく)の忍冬(にんどう)は、冬の寒さに耐え忍ぶ様子が名前の由来だとされています。

忍冬はツル性植物であるスイカズラの茎や葉のことを指します。

常緑植物で冬が訪れても落葉し
ないため、その姿が昔の人々には寒さに耐えているように見えたのでしょう。

忍冬には解毒作用や解熱作用があるとされ、化膿性の皮膚症状などによく用いられる漢方薬に含まれます。

その中には治頭瘡一方(ちづそういっぽう)という漢方薬があり、便秘気味で比較的体力がある人の、顔面や頭部などにできる湿疹や水疱などの頭瘡と呼ばれる症状に適することが多い薬です。

また、スイカズラの花蕾(からい)は金銀花(きんぎんか)と呼ばれ、忍冬とは異なる生薬です。

5〜6月に咲く白い花が黄色く変化することが名前の由来だそうです。

忍冬と同様に解毒作用や解熱作用などがあるとされ、金銀花を含む漢方薬には、荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)があります。

これは、化膿性の湿疹やじんましんの改善に用いられることが多い十味敗毒散(じゅうみはいどくさん)の素となった処方です。

同じ植物でも、部位によって異なる生薬になることがあります。

それぞれの作用が異なる場合もありますので、専門家に相談しながら上手に利用しましょう。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 16:02| リビング新聞−よもやま話−

2019年01月19日

漢方薬で月経不順になることがある?

こういう仕事をしていると自分自身が実験台ということもあり、不調があると漢方薬で対処する場合がほとんどです。

その中で、漢方薬を服用し始めて瞑眩(めんげん)と考えられる症状に驚いたことがあります。

瞑眩は副作用とよく間違われます。

両者の違いは、不都合な症状が出る期間でしょう。

不都合な症状が長引くようなら、それは瞑眩でも好転反応でもありませんのでご注意ください。

さて、今週のリビング新聞の漢方Q&A(2019/1/19号)の更新です。

はかせA.jpg

Q.漢方薬で月経不順になることがある?

慢性の頭痛、肩凝り、冷え症などの改善に漢方薬を飲んでいます。症状は良くなってきましたが、月経が乱れてきました。漢方薬の副作用なのでしょうか。
(38歳、女性)

A.よい副作用と瞑眩(めんげん)

 漢方薬を飲んで効果の出る人の多くは、不都合なことなく順調に症状がよくなっていきます。

 しかし、まれに不都合な症状が出ることがあります。副作用と瞑眩(めんげん)です。

 薬の副作用とは、目的とする作用とは別の作用で、一般には悪い作用のことを示します。

 漢方では、風邪には葛根湯などと病名だけで漢方薬を選んだときに、薬が体の状態に合わなくて不都合な副作用が出ることがあるようです。これが世間でいう漢方薬の副作用のほとんどです。

 しかし漢方家は、病名にあまりこだわらず、全身の状態に適した漢方薬を選ぶ努力をしますので、悪い副作用が出ることはまれで、むしろ目的とする症状以外の症状まで改善するよい副作用が出ることも多いのです。

 よい副作用の例には、不定愁訴の改善を求めた女性が、順調に改善したが、過去にはなかった月経不順が数カ月間続いた後、30日周期が28日周期に変わって全身の体調がよりよく整ったというものがあります。

 薬が合っているにもかかわらず、一時的に症状が悪化したり、予期しない症状が出たりすることを瞑眩といいます。

 瞑眩は副作用とは異なり、症状の改善が早まるために起こる作用です。一時的に症状が悪化したり、不都合な症状が出たりしますが長くは続かず、その後は症状の改善が早くなります。

 古くから「薬に瞑眩の症状が出なければ、その病は癒えない」という言葉もあるくらい瞑眩が望ましいものともされていますが、瞑眩が理解されにくい現代の漢方家はできるだけ瞑眩が出ないように努めていることが多いです。

 しかし、漢方薬に対する感受性の違いにより、やむを得ず瞑眩が出てしまうことがあるのです。

 瞑眩の例には次のようなものがあります。

 痒(かゆ)みの強い慢性の皮膚病が漢方薬を飲み始めて数日だけ湿疹が増悪して痒みが強くなった後で症状全体がよくなった。

 慢性の頭痛症の人が漢方薬を飲んで、かえって頭痛が強くなった後で、頭痛症が治った。

 月経困難症の改善のために漢方薬を飲んだ女性に、極めて強い月経痛が起こり、その後、月経痛を忘れてしまった。

 瞑眩は、一時的に症状が悪化しますが、通常は2〜3日以内、長くとも1週間以内に症状全体の速やかな改善がみられることが多いものです。

 副作用も瞑眩も多彩です。あなたの場合は、症状が改善されていることから、全身の状態がよいのでしたら、よい副作用の可能性が高く、月経の状態がよりよく整っていくことでしょう。

(北山進三)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−漢方Q&A−

2019年01月07日

効果が表れるまでの期間の目安

皆様、七草粥は楽しまれたでしょうか?

疲れた胃腸をしっかり休めてくださいね。

今年は年末年始のお休みのが例年より長い方が多かったせいか、気が緩んだ瞬間に体の弱いところへ不調が出てきていらっしゃる現象を多く見かけました。

お仕事が始まった時より、緊張がふっと途切れた時にどっと疲れがやってきます。

皆様、どうぞご自愛ください。

今週もリビング新聞(岡山)の「ここが知りたい漢方」の更新です(2019/1/7号)

漢方薬の剤型(煎薬、顆粒剤、錠剤)A.jpg

「漢方薬は長く飲まないと効果が出ない」と思われていることが少なくありません。

今は西洋医学で治りにくい難しい病気の人が漢方を頼ることが多く、効果が表れるまでにある程度の期間がかかっても当然でしょう。

しかし、一般的に考えられているよりも意外なほど早く効果が表れる場合も多いものです。

長年患っている慢性病でも、漢方薬を飲んだ翌日から効果が出て驚くこともあります。

今回は、漢方薬を飲み始めてから効果が表れるまでの期間の目安を紹介しましょう。

風邪のような急性病の場合、即効性のある漢方薬が当然必要とされます。

通常1〜2日程度で効果が表れることが多いものです。

アトピー性皮膚炎や四肢のしびれ・痛みなどの慢性病の場合は、2週間〜1カ月程度で効果がみられることが多いでしょう。

しかし、長年経過して症状をこじらせてしまっている場合や効果の表れにくい場合などは、2〜3カ月続けてみることをお勧めします。

虚弱体質や冷え症など、体質改善を目的とするときにも、慢性病の場合と同様に考えればよいでしょう。

月経痛や月経不順などのように月経が関係する婦人病の場合は、飲み始めて少なくとも3回程度の生理の状態を観察して様子をみれば、効果を実感できる場合も多いものです。

潰瘍性大腸炎などの国が指定する難病でも漢方薬が効果を発揮することがあります。効果が分かりにくいことも多いため、最低でも2〜3カ月は服用した方がよいでしょう。

季節特有の花粉症の症状であれば、花粉の飛散シーズンに入る1〜2カ月前から漢方薬を飲み始
め、昨年の様子と比較するのも一つの方法です。 

病気も薬も多彩です。

西洋薬という大きな枠組みでは一概に効果の出る期間の目安を決めることができないのと同様に、漢方も一人一人の状態によって効果の出方の目安は異なります。

漢方の専門家に相談しながら、上手に漢方薬を利用しましょう。

(北山 恵理)