出荷量が多いので無難に使用できる薬と思われがちですが、お腹に熱をもっている場合などに使用してしまうと逆効果。
結構な悪影響が出てしまいます。
名前をよく聞く薬でも、体質や症状に合わせたものを試さないとダメです。
さて、大建中湯について今週のリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(31/2/23号)

まだまだ風邪をひいたり体調を崩す人が多いこの時季。
また、冷えたことが影響して、胃腸の働きが弱り不調を訴える人も多いようです。
冷えたおなかを温めるときには、大建中湯(だいけんちゅうとう)という漢方薬がよく用いられます。大建中湯は、山椒(さんしょう)・乾姜(かんきょう)・人参(にんじん)・膠飴(こうい)の4種類の生薬(しょうやく)から構成されます。
この薬は、中国・後漢の時代に張仲景(ちょうちゅうけい)が著したとされる医学書「金匱要略(きんきようりゃく)」に収載されています。
手足やおなかが冷えて、ガスがたまって苦しく、便秘傾向にある人に適することが多い薬です。
激しい場合には、嘔吐(おうと)して、痛みがひどく腹部に手を触れることすらできないような症状にも用いられます。
最近では、このような大建中湯を使う目標となる症状が腸閉塞の時に生じる症状と似ていることから、西洋医学の現場でも登場することの多い漢方薬となりました。
外科手術の後に、腸閉塞の予防で大建中湯を服用するのです。
しかし、誰にでも大建中湯が適するとは限りません。
大建中湯のほかにも、腹部を温めて不調を改善する漢方薬は、人参湯(にんじんとう)、真武湯(しんぶとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)など多くあります。
漢方の専門家に相談して最適な漢方薬を利用しましょう。
(北山 恵理)