2019年03月30日

良質な睡眠、とれていますか

岡山の桜の見頃はもう少し先でしょうか?

お花見シーズンのこの季節、体が乱れている方が多いです。

というか、今年に入って乱れている方が多いです(;ω;)

春眠暁を覚えず、というように眠くて仕方がない方もいらっしゃいますし、環境に変化がある方などは気が落ち着かず今まで通りに寝ているのに熟睡感を得られないという方もいらっしゃいます。

体に不満のない方は、快食・快便・快眠ができている状態とよく言われますが、そのうち快眠は肉体・精神を回復させるために必要不可欠なもの。

今週は睡眠についてリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(31/3/30号)

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節目を迎えたり、新生活が始まったりするこの時期は、慌ただしい生活を送られている人も多いでしょう。

そんな気ぜわしい時には、これまで通りに睡眠をとっても熟睡感を得られなかったり、寝付きが悪くなったりすることが少なくありません。

さて、漢方では不眠≠フことを不寐(ふび)≠ニもいいます。

漢方薬を選ぶ際は、不眠の症状以外にも全身の状態を観察し、それに応じた適切な薬を用いることで、自然に眠れるように導きます。漢方薬はその人の体の状態を整えてくれるのです。

ですから、漢方医学には、誰が飲んでも強制的に眠気を誘うような西洋医学の睡眠薬に該当するものはありません。 

睡眠が必要な人には眠りを促すよう働き、また、質の良い睡眠を得られるよう働くため、睡眠をとり過ぎている人は、場合によっては熟睡感はあるけれど睡眠時間が短くなることも考えられます。

十分な睡眠がとれているにもかかわらず日中強い眠気に襲われる過眠症の人に用いる薬と、眠りたいけれど眠れない睡眠障害の人に用いる薬が同じこともあるのです。

漢方薬は本当に不思議なものです。

睡眠以外のどんな病気でも、診断名だけでは適切な薬を選ぶことはできません。

診断名が同じでも、服用する人の体質や症状によって適する薬は異なりますから、漢方の専門家に相談しながら、上手に利用しましょう。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−よもやま話−

2019年03月23日

歯槽膿漏に効く漢方薬がありますか?

口の中のお悩みは、歯医者さんでないと解決できないと思っている人も多いでしょう。

実は漢方は、歯周病や歯槽膿漏、歯根嚢胞、口内炎は得意分野です。

もちろん100%ではありませんが、結構高い確率でよくなられる方がいらっしゃいます。

そんな口の中のお悩みに用いられる漢方について、今週のリビング新聞の漢方Q&A(2019/3/9号)の更新です。

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Q.歯槽膿漏に効く漢方薬がありますか?

 数年前から歯槽膿漏(しそうのうろう)で悩んでいます。以前、歯茎が緩んで抜いた歯があり、今も別の歯を抜かないといけないと言われています。歯槽膿漏にも漢方が効くと聞いたのですが、本当でしょうか。(68歳、女性)

A.口の中の治りにくい病気に漢方を

 漢方でも口の中の病気に対応してきた長い歴史があります。西洋医学の進歩によって漢方の役割は随分減りました。しかし、歯槽膿漏や口内炎に対する効果など、役に立つ素晴らしい価値も多く残っています。

 歯槽膿漏(歯周炎)は、歯を支えている周囲の組織が悪くなる病気です。

 少しずつ進行していきますが、初期では、痛みや違和感を感じることはありません。ある程度悪くなると、歯茎(歯肉)の色が悪くなり、出血しやすくなり、歯茎が腫れて、押すと膿汁(のうじゅう)が出るようになります。そして、歯を支えている骨が破壊され、歯は抜けてしまいます。

 つまり、痛みはあまりないままに、いつの間にやら歯がぐらぐらして、ついには抜けてしまうという病気です。

 口の中にいる多くの細菌のうち十数種類が歯槽膿漏の原因となり、それらが増殖することによって歯槽膿漏が悪化しますが、個人の健康状態や歯の周りの清潔さなどに大きな影響を受けます。

 歯槽膿漏の多くは漢方薬を飲むだけで改善し、出血や膿(うみ)がなくなり、緩んだ歯茎がしっかりしてくるものです。

 私が歯槽膿漏に対する漢方の効果に驚いたのは30年ほど前です。たった数日間漢方薬を飲んでもらっただけで歯茎が引き締まって盛り上がるという信じられないケースを経験したのです。

 ほかにも、歯槽膿漏が悪化を続けて一本ずつ歯を抜いていた人が、残り2本になったときから漢方薬を飲み始め、数カ月分の薬を飲んだだけで20年以上も症状が治まったことがあります。

 1カ月もしない間に、緩んだ歯茎が締まったり、色が改善した人は少なくありません。

 歯槽膿漏の改善には漢方が役立つことが多く、効果の試しの期間は、煎じ薬なら1、2週間から1カ月、顆粒剤や錠剤なら少し長引きます。

 ではどのような漢方薬が利用されるのでしょうか。入手しやすい顆粒剤や錠剤の漢方薬を紹介します。もしこれらで効果が見えにくければ、専門家に相談して煎じ薬を試すとよいでしょう。

●黄連解毒湯(おうれんげどくとう) 
歯茎からの出血がじわじわと止まらないものに

●甘露飲(かんろいん)
口臭があったり、歯茎が腫れたり痛んだりして、ただれている状態に

●三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう) 
舌が腫れたり、歯茎からの出血が続いたりして、便秘傾向の人に

●六味丸(ろくみがん)
口臭があったり、歯茎が赤くただれたりして、足が弱り、時に口の中が塩辛く感じる状態に

(北山進三)

posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−漢方Q&A−

2019年03月09日

花粉症、薬の剤型で効果が異なる!

今年も嫌な季節がやってまいりました・・・。

聞いたところによると昨日は今年で1番花粉が飛散していたようで、薬局に花粉症の薬を求めに来られる方が多く、他の相談で来られる方も鼻水に悩まされている方が多かったです。

これから暖かさが増すにつれて不安になりますが、自分に適した薬を見つけましょう!

今週もリビング新聞(岡山)の「ここが知りたい漢方」の更新です(2019/3/9号)

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今年も花粉症の季節がやってきます。

既に症状が出て悩んでいる人もいるのでは?

花粉症はアレルギー疾患の一つ。

スギ花粉などのアレルギー物質が鼻や目の粘膜に付着すると、過剰な免疫反応によって症状が表れます。

花粉症の代表的な症状といえば、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。中でも、とめどなくあふれてくる水のような鼻水が特徴的です。

西洋医学では、粘膜の過敏性を少なくする抗アレルギー剤などで一時的に症状を抑えます。

一方、漢方では体質改善を目指し、症状が出なくなることを目的にします。

さらさらした鼻水が垂れ、くしゃみが出て困るような時によく用いられる漢方薬に、小青龍湯
(しょうせいりゅうとう)があります。 

この薬は、体の中から温め、鼻水やくしゃみなどの体内の余分な水分を排出してくれる生薬(しょうやく)から構成されています。 

小青龍湯のほかにも、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)や葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうか
せんきゅうしんい)など、花粉症の症状に用いられる薬は多くあります。

その中から、飲む人の症状や体質に適するものを選ぶことが大切です。 

もし、錠剤や粉薬の小青龍湯を試して効果がなければ、漢方薬本来の形である煎じ薬で試してみるのもよいでしょう。

私自身、花粉症で困っている時、粉薬では症状が治まりませんでした。

そこで、粉薬で飲んだ漢方薬を煎じて飲んだところ約10分後には症状が治まった経験があります。

薬の剤型によって効果が異なることを身をもって実感できた貴重な経験ですが、改めて驚いたものです。

花粉症では、漢方薬は西洋薬の対症療法のような即効性が望める場合ばかりではありません。

通常は1〜2週間以内に効果が実感できる場合がほとんどですが、体質改善を目的とするなら長く飲み続けた方がよいでしょう。

漢方薬は西洋薬との併用も可能です。

継続していくうちに、次第に西洋薬の必要性が減り、最終的には漢方薬も不要になるでしょう。

(北山 恵理)