リビング新聞の漢方よもやま話の更新です。(28/6/25号)

進学や就職などで今春から生活環境が変化してしまったという人も多いことでしょう。
そして、梅雨入りと同時に急に気温が高くなってきました。
それらのためか、アトピー性皮膚炎の悪化や湿疹が慢性化して治まらないという人が増えています。
今回は、皮膚の症状に使われる漢方薬の消風散(しょうふうさん)を紹介します。
消風散は、中国の外科医の陳実功(ちん・じつこう)により1617年に著された「外科正宗(げかせいそう)」に記載があり、分泌物が多く、痒(かゆ)みの激しい皮膚の症状に適するとされます。
患部は分泌物でじゅくじゅくして瘡蓋(かさぶた)ができ、見た目が汚く、地肌に赤味を帯び、痒みが強く、口の渇きを訴える人が目標とされ、夏に悪化する症状に適するとも記されています。
しかし、実際に消風散に適するのは、このような症状に限りません。夏以外に悪化する症状や、潤いを補ったり熱を取ったりする作用などもあるため、分泌物はなく乾燥傾向のある人、患部に熱を持つ人などにも使われ、効果を発揮しています。応用範囲のとても広い漢方薬なのです。
消風散以外にも皮膚の症状に使われる漢方薬はたくさんあり、それぞれに適する症状があります。
時には漢方薬の軟こうを使用するだけで改善する場合もあります。
なかなか治まらない場合には、一度漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
(北山 良和)
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