2016年08月20日

中国・四神の名の付いた漢方薬

漢方薬は日本の伝統医学ですが、そのルーツを辿れば中国に行き着きます。

漢方で使われる薬の名前に、その名残が残っているという今週のよもやま話です(*'-'*)

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今週のリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(28/8/20号)

漢方薬の処方の名前は、その効果を示すもの、生薬(しょうやく)に由来するものなどさまざまです。

今回は、中国の想像上の動物である「玄武(げんぶ)」「白虎(びゃっこ)」「青竜(せいりゅう)」「朱雀(すざく)」という四神(しじん)の名の付いた漢方薬を紹介します。

四神は東西南北を司り、季節をもたらす神獣とされています。

青竜の青、朱雀の朱(赤)、白虎の白、玄武の玄(黒)と色を表すこともあります。

「玄武湯」は、黒い附子(ぶし)が含まれます。

冬をもたらす玄武に対し、冷えのある人に用いられることが多い漢方薬で、現在では「真武湯」と呼ばれています。

「白虎湯」は、白い石膏(せっこう)が含まれます。

秋をもたらす白虎は、夏にほてった体の熱をとり、石膏も熱を取る働きがあるため熱射病などに用いることがあります。

「小青竜湯」は、青い麻黄(まおう)が含まれます。

春をもたらし水を司る青竜は冷たい水を温めます。小青龍湯は、さらさらした鼻水が止まらない人を温めて症状を抑え、現在でもよく用いられる漢方薬です。

「朱雀湯」は諸説あり「十棗湯(じっそうとう)」のことだとされており、赤い大棗(たいそう)が含まれます。

この漢方薬は、作用が強く現在では用いられることはありません。

漢方は中国の古い医学が日本で独自に発展した日本の伝統医学ですが、このように中国の思想の名残もあるのです。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−よもやま話−