2018年07月19日

関節リウマチによい漢方薬はある?

この度の西日本豪雨災害で被害にあわれました皆様、またそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

私も何かできることを、と思いながら何をしていいのかわからずに、ほんの気持ち程度の支援しかできていません。

被災地の復興のため、日々活動をされている方々には本当に頭が下がる思いです。

その思いが被災地の方にとってどれだけ支えになっていることでしょう。

皆様の安全と被災地の一日も早い復興を願っています。

では、今週のリビング新聞の漢方Q&A(2018/7/14号)の更新です。

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Q.関節リウマチによい漢方薬はある?
 
 長年関節リウマチで悩んでいます。病院で治療を続けていますが思うように痛みが取れず、漢方薬がよいということを聞きましたが、どんな漢方薬が効くのでしょうか。(67歳、女性)

A.一度試してみることをお勧めします

 関節リウマチは免疫の異常によって起こる病気です。最初は手の指など小さな関節が左右対称に腫れて痛むことから始まることが多く、次第に大きな関節にも波及していきます。朝起きたときに指がこわばって曲げにくくなる症状が特徴です。

 病気が進むと関節が変形して動かしにくくなります。

 30〜50歳代の女性に多く発症し、進行の度合いには個人差があります。

 関節リウマチは、症状があちこちの関節を経歴することから、古代の中国医学では歴節風(れきせつふう)、痛みの激しいものを白虎(びゃっこ)にかまれるように痛むということで白虎風といいます。また、元の時代からは痛風とも通称されています。ただし、西洋医学の病名の痛風の定義とは異なります。

 関節リウマチは昔から治りにくい病気ですが、漢方が効果的なケースも多くあります。

 寿元堂薬局の経験では、初期または軽症の場合は症状が消えてしまうこともありますが、こじらせた後で相談に来られる方が多いのが残念です。それでも西洋医学に漢方を併用すれば症状が改善することが多くあるので、一度は漢方を試すとよいと思います。

 では、どんな漢方薬が効くのでしょうか。

 「○○という病気に効く漢方薬は?」「××という症状にはどんな漢方薬を?」という質問は平素から少なくありません。しかし、漢方薬は病名や症状だけで選ぶものではありません。同じ病名を持つ人や同じ症状のある人でも、人によって状態は異なります。

 病名や症状だけで漢方薬を選ぶのは、例えば、「男性に似合うスーツ」や「〇歳の女性に適したバッグ」という条件だけで選ぶことと同じで、適切な選択はできません。

 漢方薬は、いわばオーダーメイドの薬です。関節リウマチという病気のある、あなた自身の体質や症状を細かく捉えて、多くの漢方薬の中から最も効果がありそうなものを選ぶことが大切です。

 ちなみに、私が編集した「黙堂柴田良治処方集」には42処方以上が関節リウマチに使われますし、古典にはさらに多くの漢方処方が載っています。それらを参考にして、実際に使う漢方薬を選ぶと効果が出やすいのです。

 一般的に入手しやすい漢方薬だけでも、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、桂枝芍薬知母湯(けいししゃくやくちもとう)、五積散(ごしゃくさん)、疎経活血湯(そけいかっけつとう)、大防風湯(だいぼうふうとう)、独活寄生湯(どっかつきせいとう)、薏苡仁湯(よくいにんとう)などがあります。

 できれば専門家に詳しくご相談ください。

(北山進三)
posted by なつめ at 18:45| リビング新聞−漢方Q&A−