2017年07月27日

漢方薬と、漢方薬と誤解されやすいもの

今も昔も薬局に来られる方で、漢方薬でないものを漢方薬と誤解している人は多いものです。

今日は漢方薬だと誤解されやすいものについて簡単に紹介していきます!

まず、おさらいから。

漢方薬の剤型でお伝えしたように、漢方薬とは何種類かの生薬を組み合わせたものでした。

「生薬=薬草=漢方」のような連想によって様々な誤解が生まれるのは避けられないことかもしれません。

また、それぞれどこでボーダーをひくかが難しいという問題点もあります。

ですが、めげずに簡単にまとめてみたので皆さん頑張ってついてきてください(笑)

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【日本の民間薬】

これが1番漢方薬と誤解されやすいものですね。

今は皆、当たり前のように不調があれば病院にかかっていますが、昔は「医者にかかる」ということ自体が一般的でない時代が長く続きました。

では、医者にかかれない人たちはどうしていたのか?

民間で経験され、伝承によって行われてきた治療法で対処していました。

1種類から数種類の薬草を症状に合わせて用いますが、漢方薬のようにそれぞれの体質を考慮するということはありません。

風邪を例に出すと、漢方薬では比較的体力があり、風邪のひき始めに悪寒、頭痛、首筋や肩のこわばりなどがあれば葛根湯(かっこんとう)。比較的体力が弱く、胸がつかえるような感じがして微熱が続くような場合は小柴胡湯(しょうさいことう)。体力の衰えている人で冷えを強く感じる時には麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)。

などといったように漢方薬はその人の状態や症状に合わせて選ぶ薬が変わってきます。

一方で、民間薬では体質は考えずに病名や症状をもとに薬草を選びます。

「いぼとりにヨクイニン」「風邪といったら卵酒」という感じです。

「漢方薬飲んでた」と言う方に何を飲んでいたのかお伺いすると、「どくだみ」「ヨクイニン」「杜仲(とちゅう)の葉」などといった答えがよくかえってきますが、それらは民間薬草や生薬の1つであって単体では漢方薬とは言いません。

薬草を飲んだからと言って、漢方薬を飲んだような効果を期待してはいけませんし、漢方薬は効かないと思わないようにしてください。

とは言え、民間薬草の中でも割と効果を実感できるものもあります。

難しいですよね〜(^_^;)

【外国の薬草】

日本の民間薬と同じように、病名や症状に合わせて用います。

ハーブなどは私たちの身近なものですよね。

少し話が脱線しますが、漢方の原料である生薬とハーブでは同じ物が使われていることもあるんです(*^_^*)

甘草(かんぞう)はではリコリス、丁字(ちょうじ)はクローブといった具合に、同じものでも呼び名が異なりハーブの呼び名だと途端にオシャレなイメージになるのが悔しいですが・・・(笑)

ハーブティーでお馴染みのカモミールなんかは日本でも「かみつれ」といって民間療法で使われていたんですよ〜。

【中国の製品】

漢字で名前が書いてある時点で漢方薬だと思われることもしばしば・・・。

漢方にも流派があるのをご存知ですか?でお伝えしたように、中国医学の薬のことは中薬(ちゅうやく)と言って基本的には漢方薬とは異なるものです。

健康食品やお茶も中国のものというだけで漢方薬だと思っている人がとても多いです。

【健康食品やサプリメント】

健康食品やサプリメントに生薬のエキスが含まれていると漢方薬と思う方も非常に多いです。

最近あった例として、漢方を扱っている薬局で購入した生薬のエキスも何も入っていないただの栄養補助食品のことを「漢方薬」だと思い込んでいる方もいらっしゃいました。

お客様が漢方薬を今まで試したことがある場合、参考までにどのようなものを飲んでいたのか、不都合なことはなかったかお伺いすることがあります。

そのお客様も「漢方を飲んでいる」と言われたので、商品を拝見すると漢方薬ではなかったのですね。

「漢方」の看板を掲げているからと言って、扱っている商品が全て漢方薬だとは限りません。

これに関しては、一般の方にとって漢方は馴染みのないものということをふまえてお客様に商品の説明をしていれば防げたのではないかと個人的には感じています。

しかし、購入するお客様がその薬局を選ばれたのも事実。

相性もあることですし、漢方薬局を選ぶ際には色々なところに足を運んで“漢方薬局のはしご”をしてみてもいいのではないでしょうか?


posted by なつめ at 11:24| 漢方

2017年06月26日

漢方にも流派があるのをご存じですか?

華道や茶道など、日本古来の伝統的なものの多くには流派があります。

それぞれの特徴や考え方が異なります。

あまり知られていないことですが、実は「漢方」にも流派があります。

3つの流派があり、それぞれ

@後世方(ごせほう)派
明の時代の中国医学が日本に伝わり、日本独自の発展をとげたもの。陰陽五行説を重んじる理論的な流派です。

A古方(こほう)派
後世方が理論にとらわれすぎて効果が十分に発揮されなくなった時代に、後漢時代の古い医学書である傷寒論(しょうかんろん)・金匱要略(きんきようりゃく)を重視し実務を重んじた流派。

B折衷(せっちゅう)派
後世方と古方の良いとこどりしたらいいじゃん、という流派

と呼ばれています。

ちなみに寿元堂は折衷派。

師匠の師匠である柴田良治先生は、幕末から明治にかけての最高の漢方医と言われている浅田宗伯先生(折衷派)の流れをくんでおられた方で、正統な漢方を受け継ぐ数少ない医師の1人でした。

最近、寿元堂薬局内がざわざわしたことがあるんです。

どうやら今は上記の3つの流派に加えて「中医学派」というものが存在するそうで・・・漢方の流派が4つあるとされているようです。

中医学派というのは、現代の中医学の考え方で漢方薬を使用するそう。

中華民国時代に中国でも近代化を図ろうとする流れがあり、それまでの中国の伝統医学を廃止する方針がうちたてられたそうです。

その後1950年代に毛沢東による文化大革命によって、中国のそれまでの伝統医学と西洋医学を融合させようと整理したものが現代の中医学です。
(※漢方の起源である古代の中国医学と、現代の中医学は異なります)

現代の中医学は1度整理されたが故に、理論はとてもわかりやすく面白い。

ですが、現代の中医学は成立する際に急遽体系づけられたものであり、国際中医師などの資格のとれる中医学院の教材をつくる際に多数決的に理論がまとめられたそうで、今でも多くの矛盾を含んでいるという問題点もあるようです。

※漢方も科学的に証明することが難しいことが多く、問題点は多々あるようですが・・・

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私は「中医学派」があるって聞いた時に「それって漢方じゃなくて中医学なんじゃないの?」って思ってしまいました。

中医学の考え方で中薬(ちゅうやく・中医学で用いられる薬のこと)や漢方薬を選ぶなら「中医学」って言えばいいと思うんです。

というのも、そもそも漢方は日本人の体質に合わせて発展した日本の伝統医学です。

漢方薬本来の効果を発揮するためには、昔から日本でよく用いられてきた漢方の方法論で漢方薬を選ぶことが大切だと私は思います。

ただでさえ教科書通りにいかない漢方の世界ですから、現代の中医学のように理論的に綺麗に整理されたものでは実際の現場で成立しないことも多い。

「漢方は理屈ではない」というのが、師匠の口癖です。

私が師匠のもとで漢方を勉強し始めた頃は、「なんてわけのわからない医学だ」とよく思ったものです。

薬を選ぶ者の経験や考え方、知識によって個人差が大きく、「西洋医学に比べて、なんていい加減な医学なんだ」と思ったこともあります。

師匠は薬を選ぶ時、よく「ぽっと薬がおりてくる」とのたもうております。

このように第六感で薬を選ぶタイプの師匠なので、私が余計に「わからん・・・」と感じたのかもしれませんが・・・。

これ読んだら怒られるかな?(笑)

このような迷える子羊ちゃん状態の時に、周りに師匠がおらず漢方に詳しい方とも巡り会えなければ、私も理論的でわかりやすい中医学を伝統的な漢方だと思い込み中医学派になっていたかもしれません。

実際に自分が漢方薬を選ぶ立場になって、漢方の方法論で薬を選んでも教科書通りにいかないことも多いと本当に身にしみて感じています。

理論的でわかりやすい現代の中医学は面白いですが、早々に限界を感じていたのではないかなぁと思います。

しかし、中医学も経験を積んで学べば学ぶほど、理論よりも直感や経験を重んじる機会が増えていくのではないでしょうか?

「教科書から外れることがある」「自分の感覚で教科書から外れたことをした結果良い方向にいった」ということはきっと漢方の世界だけではなく、どんな世界でも共通することじゃないのかなと個人的に思っています。

それぞれの世界のプロフェッショナルの方々、いかがでしょうか?

長文でつらつら書いてしまいましたが、今日の記事で誤解をしていただきたくないのが中医学派の漢方を否定しているわけではありません。

先にある3つの流派でも、考え方や見立てによって選ぶ薬が異なることもあります。

また、漢方と西洋医学、中医学の優劣を問いたいわけでもありませんし、対立するものではないと思っています。

漢方薬、西洋薬、中薬などの薬にはそれぞれ得意分野、不得意分野があるので、それぞれの長所をうまく利用して悩んでいる方が良い方向に向かうのが、どの立場であれ1番なんです。

ただ、色んなことを知った上で納得してお薬を試していただきたい。

それだけです。

ですが、何が正しい情報なのかわかりにくい時代です。

漢方の看板をかかげている病院や薬局を選ぶ際に「どこの流派ですか?」と尋ねてみるのも、漢方を試す場所を探す1つの手がかりになるかもしれません。

posted by なつめ at 15:29| 漢方

2016年10月20日

冷えを感じている方、そろそろご注意を!

冷え症の皆様、寒くなり始めたこの時期から身体を冷やさないようご注意ください!!

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漢方薬局に生まれ育った私ですが、お恥ずかしいことにかなりの冷え症です。

そんな私ですが元々は冷え症だなと感じることはなく、高校生くらいまでは特に人一倍寒がりという自覚もありませんでした。

しかし県外の大学に通っていた時、少しでも汗をかくのが嫌で真夏には冷房をガンガンにつけ、一年中冷たい飲みものを好んでがぶがぶ飲んでいました。

自分が居心地の良いように、特に食事にも気を遣うことなく一人暮らしを満喫していた私。

限度をわきまえず、身体に悪い環境の中に自ら身を置いていました。

そんな生活を続けているうちに冬に指先が冷たくなって「冷え症なのかな?」と思ったことは何度かありましたが、季節のものだと思っていましたし「皆寒いって言ってるしなー」「寒さよりお洒落!」と大して気にしていませんでした。アホです(つд-。)

岡山に帰ってきてからも同じような生活を続けており、そんな不摂生がたたったのか4年ほど前から急に冷えを強く感じるようになりました。

師匠にその時の事を話すと「愚かな・・・」と哀れみの目で見られます(´A`。)

10年前に戻れるなら、思いっきり自分を叱り飛ばしたい・・・(*゚□ ゚*)

今思い返せば、冷えを感じること、その頻度や強さは年々少しずつひどくなっていっていたように思います。

症状の出てくる予兆であり、冷えを抑えられない身体のヘルプサインだったのかもしれません。

4年前の私は、真夏でも寝る時は靴下を履いて長袖のパジャマを着て、冷房はつけても29度。今の時期は、既にカイロが必要でした。真冬は拷問です。

真夏や真冬は、私と家族の間でエアコンの温度の上げ下げで無言の攻防が繰り広げられていました。

そんなひどく冷えていた私ですが、煎じ薬を飲んでいて1年くらいで冷えがじわじわ改善していっているのを感じています。

去年は冬に足首に貼っていたカイロが1枚減りました。

今年は、この時期にカイロがなくても、まだ手の温かい日が続いています。真夏に半袖のパジャマが着れるようになりました。

長年積み重ねて作り上げた冷えた身体ですので、それをほぐしていくのは大変なことだと身をもって実感しています。

ですが、寿元堂薬局に来られる症状の軽い方だと、中には1〜2週間で手足がポカポカするのを感じる方も少なくありません。

去年しもやけの相談に来られた方の中には、煎じ薬を飲んだ翌日に手が温かくなっているのを感じた方もいらっしゃったなぁ。

人によって体質、症状の治まり方、治まる速度は異なるので比較しても意味がないのですが、羨ましい限りです・・・(´A`。)

師匠から、冷え症で悩んでいた高齢の男性の大工さんのお話しを聞かせてもらいました。

その方はかなりの冷え症で、真夏でも厚いももひき(若い方わかりますか?タイツの男性版みたいなものです)を3枚履いていたそう。

病院に行っても対応できる薬がなく困って漢方を飲んでみようと思われて寿元堂薬局にいらっしゃいました。

漢方薬を飲んでいるうちに徐々に冷えが改善し、毎年1枚ずつももひきが脱げていき大変喜ばれたとのこと。

冷えが固まってしまっており時間はかかったようですが、私の希望に繋がりました。

「冷えている」と一言で言ってしまうと、私は今も「冷えてます」。

しかし、「冷えている」時期が少なくなり、「冷えている」場所が少しずつ狭まり、どれだけ変わるのだろう、と楽しみに思う自分もいます。

最初は「煎じ薬を飲んでいるのに劇的な効果がない。まだこんなに冷えてる。本当に改善するのかな?」と焦る気持ちがありましたが、師匠のお客様の話もあり、段々と「効果の高い煎じ薬を飲んでいても、変化がゆっくりだということは、それだけ冷えが強かったということだ。」と認めることができるようになりました。

そして、自分の身体を大事にしようと以前より強く思えるようになりました。

今は真夏でも氷の入っている飲み物は極力控えるようにしていますし、少しでも冷えを感じると我慢せず対応するようにしています。

自分の身体は1つしかありません!

私のように後悔することがないよう、不調を感じた時は無理せず養生してくださいね(●・ω・)b

posted by なつめ at 19:00| 漢方