2019年04月27日

長引くとつらい咳

咳は長引くと辛いものです。

夜咳き込んで寝つけなかったり、何回も繰り返す咳によって疲弊したり、あなどれません。

最近、咳のご相談が増えています。

そんな咳について、今週もリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(2019/4/26号)

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ここ数年、風邪をきっかけに咳だけが残って治らないという相談が増えています。

2〜4週間ほど咳が治まらない場合は、咳喘息(せきぜんそく)ということも。

喘息の特徴であるヒューヒューといった喘鳴はありませんが、喘息の前段階といわれているため注意が必要です。

咳の原因は、風邪などのウイルス、ハウスダストやダニなどのアレルギー、ストレスなどさまざまです。

咳止めや抗生物質などの西洋薬を服用してもなかなか治まらない咳には、漢方薬の効果が期待できることが少なくありません。 

咳は長引くとつらいものですから、早めに対処した方がよいでしょう。

咳の漢方薬で有名なものに麦門冬湯(ばくもんどうとう)があります。

顔が赤くなるまで咳き込むような激しい咳が発作的に出る人、痰(たん)がからんでなかなか切れない咳が出る人に適することが多い薬です。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、のどに何かはりついて取れない感覚があり、咳をするような人、不安症状や不眠症の人などに用いられることが多い漢方薬です。

参蘇飲(じんそいん)は、風邪の初期に寒気、発熱などがあり、咳、痰が残っているような人、普段から胃腸の弱い人の風邪に用いられることが多い漢方薬です。

漢方薬は診断名ではなく飲む人の症状や体質に合わせて適切なものを選びます。

悩んでいる症状によって上手に使い分けましょう。

(北山 恵理)

posted by なつめ at 10:00| リビング新聞−よもやま話−

2019年03月30日

良質な睡眠、とれていますか

岡山の桜の見頃はもう少し先でしょうか?

お花見シーズンのこの季節、体が乱れている方が多いです。

というか、今年に入って乱れている方が多いです(;ω;)

春眠暁を覚えず、というように眠くて仕方がない方もいらっしゃいますし、環境に変化がある方などは気が落ち着かず今まで通りに寝ているのに熟睡感を得られないという方もいらっしゃいます。

体に不満のない方は、快食・快便・快眠ができている状態とよく言われますが、そのうち快眠は肉体・精神を回復させるために必要不可欠なもの。

今週は睡眠についてリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(31/3/30号)

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節目を迎えたり、新生活が始まったりするこの時期は、慌ただしい生活を送られている人も多いでしょう。

そんな気ぜわしい時には、これまで通りに睡眠をとっても熟睡感を得られなかったり、寝付きが悪くなったりすることが少なくありません。

さて、漢方では不眠≠フことを不寐(ふび)≠ニもいいます。

漢方薬を選ぶ際は、不眠の症状以外にも全身の状態を観察し、それに応じた適切な薬を用いることで、自然に眠れるように導きます。漢方薬はその人の体の状態を整えてくれるのです。

ですから、漢方医学には、誰が飲んでも強制的に眠気を誘うような西洋医学の睡眠薬に該当するものはありません。 

睡眠が必要な人には眠りを促すよう働き、また、質の良い睡眠を得られるよう働くため、睡眠をとり過ぎている人は、場合によっては熟睡感はあるけれど睡眠時間が短くなることも考えられます。

十分な睡眠がとれているにもかかわらず日中強い眠気に襲われる過眠症の人に用いる薬と、眠りたいけれど眠れない睡眠障害の人に用いる薬が同じこともあるのです。

漢方薬は本当に不思議なものです。

睡眠以外のどんな病気でも、診断名だけでは適切な薬を選ぶことはできません。

診断名が同じでも、服用する人の体質や症状によって適する薬は異なりますから、漢方の専門家に相談しながら、上手に利用しましょう。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−よもやま話−

2019年02月23日

胃腸の不調を訴える人に…

ツムラの漢方薬の中で出荷量が1番多いらしい大建中湯。

出荷量が多いので無難に使用できる薬と思われがちですが、お腹に熱をもっている場合などに使用してしまうと逆効果。

結構な悪影響が出てしまいます。

名前をよく聞く薬でも、体質や症状に合わせたものを試さないとダメです。

さて、大建中湯について今週のリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(31/2/23号)

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まだまだ風邪をひいたり体調を崩す人が多いこの時季。

また、冷えたことが影響して、胃腸の働きが弱り不調を訴える人も多いようです。

冷えたおなかを温めるときには、大建中湯(だいけんちゅうとう)という漢方薬がよく用いられます。大建中湯は、山椒(さんしょう)・乾姜(かんきょう)・人参(にんじん)・膠飴(こうい)の4種類の生薬(しょうやく)から構成されます。  

この薬は、中国・後漢の時代に張仲景(ちょうちゅうけい)が著したとされる医学書「金匱要略(きんきようりゃく)」に収載されています。

手足やおなかが冷えて、ガスがたまって苦しく、便秘傾向にある人に適することが多い薬です。

激しい場合には、嘔吐(おうと)して、痛みがひどく腹部に手を触れることすらできないような症状にも用いられます。

最近では、このような大建中湯を使う目標となる症状が腸閉塞の時に生じる症状と似ていることから、西洋医学の現場でも登場することの多い漢方薬となりました。

外科手術の後に、腸閉塞の予防で大建中湯を服用するのです。

しかし、誰にでも大建中湯が適するとは限りません。

大建中湯のほかにも、腹部を温めて不調を改善する漢方薬は、人参湯(にんじんとう)、真武湯(しんぶとう)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)など多くあります。

漢方の専門家に相談して最適な漢方薬を利用しましょう。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−よもやま話−