2018年10月27日

冷えも影響する膀胱炎

膀胱炎は珍しくない病気ですが、実際になってみるとやっかいな病気です。

私は以前、冷え症でした。(詳しくはこちら→★★★

冷え症が辛かった時期は少し疲れたりすると膀胱炎を繰り返していましたが、現在は冷えもかなり改善し、膀胱炎は漢方薬を飲みはじめて数年の間、1度もなっていません。

膀胱炎になりやすい体質といって諦めている人の中にも、冷えを改善すれば良い方向にむかう人も意外と多いかもしれませんね。

今週は「冷えも影響する膀胱炎」について、リビング新聞の漢方よもやま話の更新です(30/10/27号)

1173174.jpg

朝晩が冷え込むようになり、昼と夜で気温が10℃以上の差になることも珍しくありません。 
 
こんな時季に注意したいのが膀胱炎(ぼうこうえん)です。

女性に多い病気で、男性と比較して尿道が短いことが理由だといわれています。

主な症状は排尿痛と頻尿で、尿に血が混ざることもあります。

大腸菌やブドウ球菌などの細菌感染が原因で、抗生物質を使用し、水分を多く補給することで早く症状が治まります。

膀胱炎などの泌尿器の炎症によく用いられる漢方薬に猪苓湯(ちょれいとう)があります。

尿道の炎症を抑えて利尿を円滑にする薬で、排尿痛や尿利の減少、口の渇きを目標に用いられます。

猪苓湯は、膀胱炎に限らず、泌尿器疾患に広く応用される代表的な漢方薬です。

膀胱炎には漢方薬も効きますが、今は多くの人が抗生物質に頼っています。

ほとんどの場合、抗生物質を服用すればよくなりますが、抗生物質を長期間服用したため耐性菌が出現し、効果が出なくなってしまう人も。

漢方では膀胱炎は冷えも影響していると考えます。

再発を繰り返す、抗生物質の効果がない、膀胱炎で長く悩んでいるという人は、漢方薬で冷えを改善しながら様子をみてもよいでしょう。

膀胱炎を繰り返さない体にしていくためには、生活習慣や食生活なども見直し、上手に漢方薬を利用して体を整えていきましょう。

(北山 恵理)

posted by なつめ at 15:30| リビング新聞−よもやま話−

2018年09月29日

体質を虚証と実証で分類

体力のある元気はつらつな実証の人。

体力がなく疲れやすい虚証の人。

上記の2つのイメージしやすいですが、お相撲さんのように体力も元気もある人でも弱っているときは虚証の傾向で考えなければいけないこともあり、判断するのはなかなか難しいものです。

さて、今週もリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(30/9/29号)

名称未設定-1のコピー.jpg

漢方薬は病名ではなく、体質や症状を目標に薬を選びます。

漢方では、人の体質は虚証と実証に分類され、虚証の人は元気や体力が足りておらず、病気に対する抵抗力が弱く、だらだらと不調が続く場合が多いとされています。

また、実証の人は元気や体力が充実しており、病気に対する抵抗力が強いため、激しい症状が出やすい傾向にあると考えられています。

原則的に、虚証の人には足りないものを補う補剤(ほざい)を、実証の人には余っているものを取り除く瀉剤(しゃざい)を選び、症状を治めていきます。

有名な補中益気湯(ほちゅうえっきとう)という漢方薬は、名前にもあるように中(体の中、主に胃)を補い、気を益する補剤です。

胃腸を整え、元気を付ける補中益気湯は、補剤の王様として医王湯(いおうとう)という別名もあるほど。

胃腸が丈夫でなく、疲れやすい人によく用いられる薬です。

漢方薬は適切に用いれば、特殊なアレルギーなどを除いて悪い副作用の心配はほとんどありません。

本来の目的とは異なる症状が改善するといううれしい副作用も多いものです。

しかし、虚実を見誤る誤治(ごち=誤った漢方薬の使い方)により生じた不都合な症状が、漢方薬の副作用とされることも多く残念なことです。

漢方薬は体質や症状を専門家に相談しながら上手に利用しましょう。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 16:00| リビング新聞−よもやま話−

2018年08月25日

余分な水や膿を出すハトムギ

以前お知らせさせていただきました「リビングカルチャースクール -漢方を学ぼう- 」ですが、おかげさまで参加申込人数が定員に達しましたので、申込み受付を終了とさせていただきます。

なんとキャンセル待ちをしてくださっている方も複数人いらっしゃるようで…皆様、有難うございます(;ω;)

それだけ「漢方」というものに興味がある方が多いのでしょうね。

さて、今週もリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(30/8/25号)

d58ecf54f79ef9267275370a77a78920_s.jpg

暑い日が続く夏には、冷たいお茶がおいしいですね。

スーパーなどでよく見かけるハトムギ茶。その原料のハトムギは、イネ科の一年草で、ハトが好んで実を食べることから「ハトムギ」と呼ばれるようになったそうです。

ハトムギは、民間療法ではイボ取りに効果があることでも有名です。

江戸時代の儒学者で医師でもある貝原益軒が、ハトムギを飲めばイボ取りや母乳が増すと、薬物についてまとめた本草書「大和本草(やまとほんぞう)」に記載したことが、民間で使用される始まりとされています。

また、ハトムギの種皮を除いた種子は、薏苡仁(よくいにん)といい、漢方薬の原料に使う生薬(しょうやく)の一つとして扱われます。

薏苡仁は白色で重く肥大しており、噛(か)むと歯に付くものが良品とされ、漢方薬の原料としては、体内の余分な水や膿(うみ)を出す作用があるといわれています。

関節痛などに用いられる麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)や薏苡仁湯(よくいにんとう)、化膿性疾患などに用いられる腸廱湯(ちょうようとう)などに含まれます。

民間療法での用い方は、漢方薬のような独特の治療体系はなく、病名や症状だけに合わせて用います。

一方、漢方薬は病名だけでなく、飲む人の体質や症状に適したものを選んで服用します。

漢方薬を利用する時には、専門家に相談して上手に利用しましょう。

(北山 恵理)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−よもやま話−