2018年02月03日

冷えを改善する漢方薬は?

今日は節分です。

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いきなりですが、豆まきに使う豆は炒った豆ですよね。

これにはきちんと理由があって、生の豆を使うと拾い忘れた豆から芽が出てしまうと縁起が悪いからだそう。

また、「炒る」は「射る」にも通じ、鬼の目である「魔の目(魔目=まめ)」に豆を投げつけて、「魔を滅する(魔滅=まめ)」と考えられていたそうです。

そして最後は、豆を人間が食べてしまうことで鬼を退治したことになるわけですね。

豆まきをして、ご家族みんなで1年の健康を願いましょう♪

さて、今回は女性の漢方薬によく含まれている当帰(とうき)について、リビング新聞の漢方Q&A(2018/2/3号)の更新です。

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Q.冷えを改善する漢方薬は?

 寒さが続き体が冷えます。冷えは万病のもとなどと聞くと気になります。漢方薬を飲むと冷え症がよくなると聞きましたが本当でしょうか。(28歳、女性)

A.体を温める代表的な生薬は“当帰”

 1月の下旬から寒さが一段と厳しくなり、今年はまだ寒い日が続きそう。冷え症の人にはつらい季節です。日本人には冷え症が多く、女性の3分の2、男女合わせて約半数が冷え症といわれることがあります。そして、その多くは体質的なもので、冷え症の改善を求める人の大半は女性です。

 漢方では昔から、冷えが病気に関係していることに気付いており、神経痛、腰痛、関節リウマチ、膀胱(ぼうこう)炎、腹痛、月経不順、不妊症、その他多くの病気に使われる漢方薬の中には冷えを改善する効果があるものがたくさんあります。

 漢方では、一人一人の症状と体質に適する漢方薬を飲むことによって病気を改善しますが、病気の人から細かく症状を伺うと、冷えがあることが少なくないのです。

 そして冷えの症状も、手足が冷える、下腹部が冷える、下半身が冷える、冷えてのぼせる、水中に座っているように冷えるなどさまざまです。

 また、冷え症を気にするあまり、月経不順、月経痛などのありふれた症状を改善することに気付いていない人もあります。そのようなときにも適切な漢方薬を続けて飲むと、冷え症の改善と共に他の症状もよくなっていきます。

 体を温める代表的な生薬(しょうやく)に、セリ科多年草の根を乾燥した当帰(とうき)があります。大和当帰、北海当帰、唐当帰(からとうき)などがあり、味や香りはもちろん、効果も異なります。日本で古くから使われている良質の大和当帰は本当帰(ほんとうき)ともいわれ、現在では奈良の吉野地方でわずかに栽培されるだけになり、中でも大深当帰(おぶかとうき)と呼ばれるものは最上品です。寿元堂薬局は大深当帰を使っていますが、一般には北海当帰が多く使われます。中国産の唐当帰は同じセリ科の別種の植物です。

 当帰が含まれる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、温経湯(うんけいとう)などの漢方薬は、冷え症の女性によく使われます。

 キンポウゲ科トリカブト属の塊根も、たいへんよく体を温める生薬です。猛毒があることで知られるトリカブトも使い方次第で隨分役に立つ生薬として利用されます。

 現在は毒性を弱めたものが使われており、真武湯(しんぶとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などに含まれて冷え症の改善に役立っています。

 最近までは、単に冷える性分として西洋医学で軽んじられてきた冷え症ですが、漢方では真剣に取り組んできた長い歴史があります。漢方薬を上手に利用してください。

(北山進三)
posted by なつめ at 17:30| リビング新聞−漢方Q&A−

2018年01月13日

飲み過ぎの人に良い漢方薬は?

忘年会や新年会で、年末年始はアルコールを摂取する機会が多く、肝藏が大忙しです!

今回は、お酒を飲み過ぎた時をテーマに記事を書いた、リビング新聞の漢方Q&A(2018/1/7号)の更新です。

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Q.飲み過ぎの人に良い漢方薬は?

 年末は忘年会、お正月は新年会と、お酒を飲み過ぎて不調です。アルコールで疲れた肝臓を元気にしてくれる漢方薬を紹介してください。(55歳、男性)

A.二日酔いから肝臓障害の人まで多様な薬が

 明けましておめでとうございます。三が日にはお酒はつきもの。屠蘇(とそ)酒に口を付けただけの人から、お酒にどっぷりと浸かった人までさまざまでしょう。花は半開(五分咲き)を看(み)、酒は微酔(びすい/ほろよい)に飲むのがよいといいますが、なかなかそうはいかないものです。

 中国・後漢の時代の書「漢書(かんじょ)」には天の美禄と謳(うた)われ、この頃には、「傷寒論(しょうかんろん)」という処方集も著されており、漢方にもお酒に関わりのあるものが少なくありません。

 例えば、古典には「酒ニ傷(やぶら)レバ悪心(おしん)嘔逆(おうぎゃく)シ、宿酒ヲ吐出シテ、昏冒(こんぼう)眩暈(げんうん)シ、頭痛破ルガ如シ」などと記されています。これは深酒をした後の悪心、嘔吐、めがくらむ、めまい、頭痛の症状などのこと。たらふく飲んでしまって二日酔いで苦しむのは、昔の人も同じだったようです。酒に傷(やぶ)れる「傷酒」(しょうしゅ)や酒にあたる「中酒」(ちゅうしゅ)という言葉も使われます。

 多くの漢方薬が飲酒による不調の改善に使われますが、現在手軽に使えるものを紹介してみましょう。

 二日酔いで嘔吐、下痢し、口渇があれば五苓散(ごれいさん)が使われます。体内に溜まった余分な水分をさばいて症状を除きます。のぼせたり、いらいらしてじっとしていられなくなったりした時には黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を飲むと気分がすっきりしやすいものです。

 また、二日酔いのように一時の酒害ならまだしも、酒好きの人が気になるのは内臓に対する負担。過度の飲酒を続けた結果、肝機能が弱ると、胸から脇にかけて充満感(胸脇苦満)が出ることがあります。この症状があるときに使われるのが、柴胡が主として含まれた大柴胡湯(だいさいことう)、小柴胡湯、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などです。胸脇苦満のある人は平素から飲み続けると肝機能の改善に役立ちます。また、小柴胡湯と五苓散を合わせて作る柴苓湯(さいれいとう)も使われます。

 肝臓障害を起こして黄疸が出れば酒疸(しゅたん)といいます。酒疸には五苓散に茵蔯(いんちん)を加えた茵蔯五苓散や茵蔯蒿湯(こうとう)などが用いられます。

 平素からの飲酒家が胃腸を傷めて元気をなくし、手足に力が無く、食欲もなくなり、顔色も赤くなってしまったときには補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を用いて元気を補います。

 このように守備範囲が広い漢方の効果を、上手に利用したいものです。

(北山進三)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−漢方Q&A−

2017年12月02日

八味地黄丸で元気になりますか

師走に突入しましたね!!

ここから早いですよ〜

やり残したことがないよう、最後の1ヶ月は忘年会で発散しながら駆け抜けましょう!!

さて、今月のリビング新聞の漢方Q&A(29/12/2号)の更新です。

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Q.八味地黄丸で元気になりますか

 疲れやすいことを病院で相談して八味地黄丸を飲んでいます。インターネットで調べると、排尿回数の不調を整えることが書かれていました。私には思い当たる不調はないのですが、八味地黄丸でよいのでしょうか。(43歳、女性)

A.応用範囲の広い薬、違いを分かって利用を

 日本の伝統医学である漢方本来の薬の使い方は結構難しいものです。漢方医学には、現代の考え方とは異なる独特の手法があります。

 しかし、西洋医学の先生が漢方薬も扱っている日本独特の事情から、西洋医学の感覚で漢方薬が使われることが多くなりました。ちなみに、医療用漢方薬(健康保険適用の漢方薬)の多くは西洋医学的な漢方薬の使い方なのです。

 医療用の八味地黄丸の効能効果をメーカー別に挙げてみました。

 A社 「疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互的に冷感と熱感のあるものの次の諸症/腎炎、糖尿病、陰萎、座骨神経痛、腰痛、かっけ、膀胱(ぼうこう)カタル、前立腺肥大、高血圧」

 B社 「疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少または多尿で、ときに口渇がある次の諸症/下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ」

 C社 「下腹部軟弱、腰に冷痛あり、尿利減少または頻数で、全身または手足に熱感あるものの次の諸症/慢性腎炎、糖尿病、水腫、かっけのむくみ、膀胱カタル、腰痛、五十肩、肩凝り」

 これらとあなたの症状を総合的に判断して先生が選んでくれた薬ですから、よく相談しながら続けるとよいでしょう。

 漢方ではどうでしょうか。八味地黄丸は西暦210年ごろの中国の書に載り、脚から下腹までしびれる状態、衰弱して腰痛し、尿が出にくい状態、口渇が強くて水を多く飲んで排尿回数が多い状態、婦人で下腹が痛んで尿が出にくい状態などに使われました。時代を経て、今では高血圧症、糖尿病、腎炎、膀胱炎、前立腺肥大症、白内障、腰痛、耳鳴り、難聴その他の多くの病気に使われるようになっています。

 応用範囲が広い八味地黄丸ですが、漢方では五臓の腎の働きが弱る腎虚の状態に使われます。元気を蓄える腎が弱ると下半身が衰弱した状態になります。そして、下半身の疲労脱力、多尿、頻尿、尿利減少、手足のほてりや冷え、口渇や口乾などがあることがあり、舌にこけがなく、胃腸障害がないなどを目安にして使いますが、見分けにくいケースも多いものです。

 さて、漢方薬の使い方は漢方と西洋医学の立場によって異なることが多く、同じ漢方薬でも効果の出方が変わることがあります。西洋医学の立場で使われる漢方薬には漢方薬という名の西洋薬≠ニ思えるような使い方が少なくありません。

 使い方の違いはどうであれ効けばよいのですが、違いを知っておくのもよいでしょう。

(北山進三)
posted by なつめ at 15:40| リビング新聞−漢方Q&A−