2019年03月23日

歯槽膿漏に効く漢方薬がありますか?

口の中のお悩みは、歯医者さんでないと解決できないと思っている人も多いでしょう。

実は漢方は、歯周病や歯槽膿漏、歯根嚢胞、口内炎は得意分野です。

もちろん100%ではありませんが、結構高い確率でよくなられる方がいらっしゃいます。

そんな口の中のお悩みに用いられる漢方について、今週のリビング新聞の漢方Q&A(2019/3/9号)の更新です。

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Q.歯槽膿漏に効く漢方薬がありますか?

 数年前から歯槽膿漏(しそうのうろう)で悩んでいます。以前、歯茎が緩んで抜いた歯があり、今も別の歯を抜かないといけないと言われています。歯槽膿漏にも漢方が効くと聞いたのですが、本当でしょうか。(68歳、女性)

A.口の中の治りにくい病気に漢方を

 漢方でも口の中の病気に対応してきた長い歴史があります。西洋医学の進歩によって漢方の役割は随分減りました。しかし、歯槽膿漏や口内炎に対する効果など、役に立つ素晴らしい価値も多く残っています。

 歯槽膿漏(歯周炎)は、歯を支えている周囲の組織が悪くなる病気です。

 少しずつ進行していきますが、初期では、痛みや違和感を感じることはありません。ある程度悪くなると、歯茎(歯肉)の色が悪くなり、出血しやすくなり、歯茎が腫れて、押すと膿汁(のうじゅう)が出るようになります。そして、歯を支えている骨が破壊され、歯は抜けてしまいます。

 つまり、痛みはあまりないままに、いつの間にやら歯がぐらぐらして、ついには抜けてしまうという病気です。

 口の中にいる多くの細菌のうち十数種類が歯槽膿漏の原因となり、それらが増殖することによって歯槽膿漏が悪化しますが、個人の健康状態や歯の周りの清潔さなどに大きな影響を受けます。

 歯槽膿漏の多くは漢方薬を飲むだけで改善し、出血や膿(うみ)がなくなり、緩んだ歯茎がしっかりしてくるものです。

 私が歯槽膿漏に対する漢方の効果に驚いたのは30年ほど前です。たった数日間漢方薬を飲んでもらっただけで歯茎が引き締まって盛り上がるという信じられないケースを経験したのです。

 ほかにも、歯槽膿漏が悪化を続けて一本ずつ歯を抜いていた人が、残り2本になったときから漢方薬を飲み始め、数カ月分の薬を飲んだだけで20年以上も症状が治まったことがあります。

 1カ月もしない間に、緩んだ歯茎が締まったり、色が改善した人は少なくありません。

 歯槽膿漏の改善には漢方が役立つことが多く、効果の試しの期間は、煎じ薬なら1、2週間から1カ月、顆粒剤や錠剤なら少し長引きます。

 ではどのような漢方薬が利用されるのでしょうか。入手しやすい顆粒剤や錠剤の漢方薬を紹介します。もしこれらで効果が見えにくければ、専門家に相談して煎じ薬を試すとよいでしょう。

●黄連解毒湯(おうれんげどくとう) 
歯茎からの出血がじわじわと止まらないものに

●甘露飲(かんろいん)
口臭があったり、歯茎が腫れたり痛んだりして、ただれている状態に

●三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう) 
舌が腫れたり、歯茎からの出血が続いたりして、便秘傾向の人に

●六味丸(ろくみがん)
口臭があったり、歯茎が赤くただれたりして、足が弱り、時に口の中が塩辛く感じる状態に

(北山進三)

posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−漢方Q&A−

2019年02月18日

自律神経失調症と肝臓は関係しますか

古代の中国の思想に五行説というものがあります。

五行説はいろいろなものと関連しており、人の体も例外ではありません。

が、五行説に出てくる五臓と、私たちの体内の臓器は全く別物です。

詳しくは、今週のリビング新聞をどうぞ。

漢方Q&A(2019/2/16号)の更新です。

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Q.自律神経失調症と肝臓は関係しますか?

 イライラして動悸(どうき)や不眠があり、自律神経失調症といわれました。ある人に肝臓が悪いからだといわれましたが、どうでしょうか。(54歳、女性)

A.五行説の肝は肝臓のことではありません

 治したい症状を相談すると、西洋医学の検査では異常がないのに、肝臓や腎臓が悪いといわれたという人がいます。あなたもその一人ですね。

 さて、古代の中国の思想に五行説というものがあります。万物を木、火、土、金、水の5つの要素に分けて、お互いに影響し合うという考え方で、政治や宗教を含めて、すべての分野に取り入れられた時代があります。

 五行説は医学にも影響を及ぼし、内臓全体のことを五臓六腑といい、五臓は肝、心、脾、肺、腎に分けられました。

 これらは、肝臓、心臓などと西洋医学で内臓の名前に使われているため誤解されやすいのですが、漢方では、体のさまざまな働きを振り分けて名前を付けたもので解剖学的な臓器のことではありません。「肝、心、脾、肺、腎」と「肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓」は同じものではないのです。

 五臓の肝は、ほぼ西洋医学の肝臓の働きに加えて精神の活動に大きく影響し、感情や自律神経の働きと関係しています。 また、人の感情は、五行では、肝、心、脾、肺、腎を、それぞれ怒、喜、思、憂、恐と関連づけて五情といいます。

 ですから、イライラして怒りっぽくなることを漢方では肝の病ということがあります。

 ちなみに、肝は疳(かん)や癇(かん)につながり、疳が強いとか、癇に障るなどといい、共に怒りやすいことですね。

 漢方には癇症という病名もあります。古くは癲癇(てんかん)のことでしたが、後に怒りっぽいことやいら立ちやすいことをはじめとして、物事が気になったり、ささいなことで悩んだりなど、感情の偏りを広く意味するようになりました。これらは解剖学の肝臓の機能とは直接関係はありませんので、検査もしないで肝臓が悪いといわれたことは気にしないでよいでしょう。

 肝と肝臓に限らず、五臓と西洋医学の臓器を混同することは避けたいものです。

 五行説と漢方の関わりですが、漢方の基になった明の時代(1368〜1662)の中国医学には五行説が取り入れられていました。

 江戸時代に中国医学が変革して日本独自の医学である漢方になっていく過程で、五行説を重視した後世派(ごせいは)よりも経験を重んじた古方派という流派が効果を上げる時代がありました。後に、両派の長所を取り入れた折衷派が漢方の主流になりましたが、五行説は以前ほど重んじられなくなりました。

 現在の漢方でも、やはり折衷派が主流ですが、経験を重んじた効果的な漢方薬の使い方に加えて、五行説の一部が活用されています。

(北山進三)

posted by なつめ at 12:02| リビング新聞−漢方Q&A−

2019年01月19日

漢方薬で月経不順になることがある?

こういう仕事をしていると自分自身が実験台ということもあり、不調があると漢方薬で対処する場合がほとんどです。

その中で、漢方薬を服用し始めて瞑眩(めんげん)と考えられる症状に驚いたことがあります。

瞑眩は副作用とよく間違われます。

両者の違いは、不都合な症状が出る期間でしょう。

不都合な症状が長引くようなら、それは瞑眩でも好転反応でもありませんのでご注意ください。

さて、今週のリビング新聞の漢方Q&A(2019/1/19号)の更新です。

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Q.漢方薬で月経不順になることがある?

慢性の頭痛、肩凝り、冷え症などの改善に漢方薬を飲んでいます。症状は良くなってきましたが、月経が乱れてきました。漢方薬の副作用なのでしょうか。
(38歳、女性)

A.よい副作用と瞑眩(めんげん)

 漢方薬を飲んで効果の出る人の多くは、不都合なことなく順調に症状がよくなっていきます。

 しかし、まれに不都合な症状が出ることがあります。副作用と瞑眩(めんげん)です。

 薬の副作用とは、目的とする作用とは別の作用で、一般には悪い作用のことを示します。

 漢方では、風邪には葛根湯などと病名だけで漢方薬を選んだときに、薬が体の状態に合わなくて不都合な副作用が出ることがあるようです。これが世間でいう漢方薬の副作用のほとんどです。

 しかし漢方家は、病名にあまりこだわらず、全身の状態に適した漢方薬を選ぶ努力をしますので、悪い副作用が出ることはまれで、むしろ目的とする症状以外の症状まで改善するよい副作用が出ることも多いのです。

 よい副作用の例には、不定愁訴の改善を求めた女性が、順調に改善したが、過去にはなかった月経不順が数カ月間続いた後、30日周期が28日周期に変わって全身の体調がよりよく整ったというものがあります。

 薬が合っているにもかかわらず、一時的に症状が悪化したり、予期しない症状が出たりすることを瞑眩といいます。

 瞑眩は副作用とは異なり、症状の改善が早まるために起こる作用です。一時的に症状が悪化したり、不都合な症状が出たりしますが長くは続かず、その後は症状の改善が早くなります。

 古くから「薬に瞑眩の症状が出なければ、その病は癒えない」という言葉もあるくらい瞑眩が望ましいものともされていますが、瞑眩が理解されにくい現代の漢方家はできるだけ瞑眩が出ないように努めていることが多いです。

 しかし、漢方薬に対する感受性の違いにより、やむを得ず瞑眩が出てしまうことがあるのです。

 瞑眩の例には次のようなものがあります。

 痒(かゆ)みの強い慢性の皮膚病が漢方薬を飲み始めて数日だけ湿疹が増悪して痒みが強くなった後で症状全体がよくなった。

 慢性の頭痛症の人が漢方薬を飲んで、かえって頭痛が強くなった後で、頭痛症が治った。

 月経困難症の改善のために漢方薬を飲んだ女性に、極めて強い月経痛が起こり、その後、月経痛を忘れてしまった。

 瞑眩は、一時的に症状が悪化しますが、通常は2〜3日以内、長くとも1週間以内に症状全体の速やかな改善がみられることが多いものです。

 副作用も瞑眩も多彩です。あなたの場合は、症状が改善されていることから、全身の状態がよいのでしたら、よい副作用の可能性が高く、月経の状態がよりよく整っていくことでしょう。

(北山進三)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−漢方Q&A−