2018年06月09日

弱った心臓に漢方が効きますか?

全国的に今年は早い梅雨入りですね。

岡山も先日、例年よりも2週間も早く梅雨入りしました。

うちのお庭では、ガクアジサイの1つである「隅田の花火」が満開です(*^_^*)

いつもは白色だったのですが今年はほんのりピンク色。

八重咲でよけいと可愛いです。

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今週のリビング新聞の漢方Q&A(2018/6/9号)の更新です。

Q.弱った心臓に漢方が効きますか?
 
 数年前から不整脈があります。脈が結滞することが多く、時に動悸(どうき)がして不安です。心房細動といわれていますが、病院で薬は出ていません。漢方が効くでしょうか。(72歳、男性)

A.多くの漢方薬が使い分けられます

 心臓は1日に約10万回も電気的な刺激によって収縮と拡張を繰り返しています。病気、加齢、ストレスなど、何らかが影響して電気刺激が変調して不整脈が起きます。

 心房細動は高齢者に多く、心臓の上部の心房が不規則に震え、心臓がきちんと収縮できなくなり不整脈が起こります。

 西洋医学では薬物治療と心臓カテーテルによるアブレーション治療があります。アブレーション治療はカテーテルを使って心臓内の不整脈の原因となる異常な部分を焼いて治療するものです。

 脈の結滞がひどくなるとペースメーカーが必要となることがあります。

 しかし、抗不整脈薬は副作用の心配があるせいか、寿元堂薬局に相談に来られた人で薬を飲んでいたのは1人だけでした。アブレーション治療は、高度な専門性を要するので、慎重に行われなければなりません。

 最近のペースメーカーは機能もよく、装着しても日常生活の不便はあまりないようですが、携帯電話などの電磁波の影響には注意が必要です。

 漢方はどうでしょうか。漢方薬を適切に使えば副作用の心配はほとんどないので、動悸や不整脈で悩んでいる人は試してよいと思います。

 当薬局の過去の経験では、不整脈の治療にペースメーカーが多く使われていたころには、漢方の効果でペースメーカーの適応から改善した人が何人もいました。私の祖母も90歳の頃に心房細動と診断され、不整脈と胸痛を訴えることがしばしばありましたが、漢方薬を数年続けて飲むだけで治ってしまいました。

 今でも、不整脈や動悸には漢方で対応しやすいケースが多くあると思っています。

 不整脈の改善によく使われる牛黄(ごおう)という漢方薬があります。

 牛黄は、牛の胆石を乾燥させたもので、多くの病気に応用されますが、心臓の薬としても定評があります。六神丸や救心など心臓病に利用される製剤の主剤にもなっていますが、牛黄は良質の粉末を飲むのが最も効果的かつ効率的です。

 そのほか、多くの漢方薬が使い分けられますが、一般に入手しやすい漢方薬を紹介します。

●柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体力があり、不安を感じ、便秘がある人に。

●柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
前方が適するような状態で便秘がなく虚弱な人に。

●桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
不安や神経過敏がある虚弱な人に。

●炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
動悸が強く、疲れやすい人に。

●苓桂朮甘湯(りょうけいじゅっかんとう)
めまいや立ちくらみがある人に。

(北山進三)
posted by なつめ at 17:00| リビング新聞−漢方Q&A−

2018年05月12日

糖尿病に漢方薬の作用、効き方は?

皆様、GWは存分に楽しまれましたでしょうか?(*^_^*)

途中、雨が降ったものの、お出かけ日和でしたね!

お休み明けも、リビング新聞の漢方Q&A(2018/5/12号)の更新です。

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Q.糖尿病に漢方薬の作用、効き方は?
 
 糖尿病は食事療法(カロリー制限)と運動療法が治療の柱だといわれますが、漢方では予防的な使い方でしょうか。漢方薬の場合、どのような作用、効き方をするのですか。(35歳、女性)

A.長年使われてきた信頼性の高い薬も

 糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上昇する病気です。血糖値を調節するインスリンの働きが悪くなって起こります。

 糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型はすい臓にあるインスリンを作る細胞がインスリンを作れなくなることで発症します。2型は、遺伝や食生活の乱れ、ストレスなどの影響でインスリンの量や働きが低下して起こります。日本では糖尿病のほとんどが2型です。2型糖尿病の初期には自覚症状がないことが多く、健康診断や人間ドックで見つかることがあります。

 糖尿病の予防と治療には食事療法と運動療法は欠かすことができないものですが、必要であれば血糖降下剤やインスリン製剤などの薬物療法が取り入れられます。

 では、漢方はどうでしょうか。漢方薬を飲んでも食事療法と運動療法の重要性が変わることはありませんが、漢方薬を飲むことによって予防効果が高まり、病気の改善に役立ちます。

 効果の出方には当然個人差があり、気長に飲んで悪化の進行を遅らせるという効き方から、数カ月という比較的短期間で検査値が改善するケースなどさまざまです。

 さて、漢方薬は糖尿病にはこの薬というように、西洋医学の病名で使う薬を判断することはしません。そして、漢方薬の作用は科学的にはまだ分かっていません。長年の間に蓄積された経験を踏まえた使い方をして、全身状態に適した薬を利用して体を整えます。

 簡単に例えれば、全身の状態の中に疲れやすくて手足が火照るという症状がある人が漢方薬を飲んで症状がなくなり体調がよくなったとします。その人が仮に糖尿病であったとすれば、結果的に糖尿病の改善に役立つことになるのです。

 とはいえ、糖尿病になる人には、体質と症状に似た傾向があるので、使われる漢方薬もある程度限られてきますが、漢方が盛んな時代には現在使われている漢方薬よりもはるかに多くの処方が使い分けられていました。

 例えば、糖尿病の典型的な症状である口渇と多尿を消渇(しょうかつ)といいますが、江戸時代を代表する処方集「古今方彙(ここんほうい)」の消渇の項目だけでも13処方が記載されています。その中で現在もよく使われる八味丸(はちみがん)は、中国の後漢の時代から2000年にもわたって使われてきた信頼性の高い薬です。

 その他、大柴胡湯(だいさいことう)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、六味丸(ろくみがん)などが使われることがあります。

(北山進三)
posted by なつめ at 00:00| リビング新聞−漢方Q&A−

2018年04月07日

漢方の口訣って何ですか?

皆様、お花見楽しみましたか?

今年の桜はあっという間に散っていきましたね。

そして今日の気温の低いこと!

春はいずこへ…(;ω;)

今週の漢方Q&Aは、師匠が長年培ってきた資料をまとめた「漢方処方・口訣(くけつ)集」についてのお問い合わせがありましたので、「口訣」をテーマにしています。

では、リビング新聞の漢方Q&A(2018/4/7号)の更新です。

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Q.漢方の口訣って何ですか
 
 漢方薬を扱っている大阪の知人から、北山先生の「漢方処方・口訣(くけつ)集」が役立つと聞きました。江戸時代の口訣の資料が豊富でよいとのことですが、口訣って何ですか。(43
歳、女性)

A.漢方薬を効果的に運用する秘伝

 口訣は、広辞苑によると「文書に記さず、口で言い伝える秘伝」とあります。料理に例えると、優秀な料理人が見込んだ弟子に教える調理のコツのようなものです。

 経験医学である漢方も、師から弟子に秘伝を伝えることで継承されてきました。経験を基に組み立てられた陰陽説や五行説などの理論だけでは漢方の効果を引き出すのが難しいからです。これは調理の基本を学んだだけではおいしい料理店ができないのと同じです。

 師の口訣を弟子が書き留めたものや古い時代の名医の解説書なども漢方では口訣と呼び、口訣には漢方薬を効果的に運用するコツが多く含まれています。

 「漢方処方・口訣集」は漢方薬の出典と口訣を多数収載していますが、出典と口訣を参考にすることは、料理の基本の知識を深めながら、優秀な先輩たちのアドバイスを聞くことに似ています。

 現在は漢方薬が氾濫していますが、風邪には葛根湯≠ネどと、病名だけを手掛かりに薬を選ぶ簡便な使い方(病名漢方といわれます)と、理屈をてっとり早く学んでよしとする中医学といわれる中国医学が分かりやすいために広まって、どちらも漢方≠ニいうことになっています。

 これは、一つの料理が全ての人の好みに合うとしたり、味は差し置いて講釈を述べたりすることに似ています。

 病名漢方は健康保険が使える漢方薬に多いのですが、これは西洋医学の中の漢方薬≠ニいう区分の薬と考えればよいかもしれません。

 素晴らしい発展を遂げている西洋医学の漢方薬≠フ使い方には将来の可能性が秘められているでしょう。

 一方の中医学は漢方は中国が本場≠ニいう誤った先入観と、どちらも生薬(しょうやく)で作った製剤のためか、漢方と同一視されることが増えました。

 本来の漢方は難しく、今では学べる機会も全国的にまれになりましたが、20年ほど前までは漢方に熟練し、漢方と中医学の比較ができる先生方がまだおられました。

 漢方を深く知らない今の人たちは、漢方と中医学の比較さえできなくなっています。ともあれ、結果がよければ何でも良く、それぞれの立場で研さんに励んでいる人たちはおられるでしょう。

 しかし、漢方の優れた特徴が知られることなく、病名漢方と中医学が漢方≠ニ錯覚されるようでは、真の漢方とその素晴らしい効果が世間から失われかねません。 

 大阪のお知り合いは数少ない漢方の専門家の一人なのではないでしょうか。そのような人によって漢方が継承されていくと思います。

(北山進三)
posted by なつめ at 18:00| リビング新聞−漢方Q&A−