寿元堂薬局は無事に仮店舗への移転が終わり、まだまだ慣れない環境の中ですがなんとか業務をこなしております。
以前と比べ倉敷駅から離れてしまい、ご不便をおかけしてしまう方も多く大変申し訳ございません。
私事で申し訳ありませんが、店舗と自宅の引越しがかさなりリビング新聞さんの連載も一時お休みさせていただいておりました。
今週から再開致しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今年も災害級の暑さが続いております。
私が学生の頃より10℃も気温があがっています・・・恐ろしや。
毎日テレビで熱中症対策が放送されていますが、西洋医学が主流になる前は、漢方薬で様々な症状に対応してきました。
今回ご紹介するのは古典にも載る暑気あたりに対する漢方薬です。
では、久しぶりですが、リビング新聞(岡山)の「ここが知りたい漢方」の更新です(2019/8/2号)

今年は梅雨がなかなか明けずに、湿気の多い重だるい日が続きました。
梅雨が明けると今度は暑い日が続き、食欲が減退して疲れ気味という人が多いようです。
漢方では暑気あたりのことを中暑(ちゅうしょ)と言い、暑さに中( あた)った状態を指します。
今回は、夏バテを回復する漢方薬を紹介しましょう。
清暑益気湯(せいしょえっきとう)という漢方薬は2種類あり、「医学六要」(いがくりくよう)と「内外傷弁惑論」(ないがいしょうべんわくろん)という書物に載っています。
現在よく使われているのは「医学六要」の処方です。
体が熱く手足のだるさを感じ、食欲も元気もなくなり軟便気味で、次第に痩せていくような症状に用いられる薬です。
生脉散(しょうみゃくさん)という漢方薬は、脈が消えそうになった時に、脈を復活させる処方として作られたものです。
脱水症状を主とする夏バテ、体力が低下した時の疲労回復などに効果的です。
そして、夏バテで弱った体力を補う特効薬〞の一つに牛黄(ごおう)があります。
牛黄は牛の胆石。
3000頭に1、2頭からしか取れない希少価値の高い漢方薬です。牛黄は品質が効き目に大きく影響するため、良質のものを選ぶことが非常に大切です。
夏は暑さだけでなく、冷えにも気を付けたいところです。
最近では「夏こそ冷えの季節」ともいわれるほど。
江戸時代の医学書である「方彙口訣」(ほういくけつ)には「夜は寝冷えなどで夜陰の気を受けやすく、また、暑さに苦しんで生ものや冷や水などを飲み食いするゆえに、体の中が冷飲食に傷られる」とあり、冷蔵庫や扇風機のない時代にもかかわらず夏の冷えに注意を呼び掛けています。
冷房などが当たり前の現代では、なおさら注意が必要。冷房を使用する際は温度を下げ過ぎないよう注意しましょう。
また、暑い日には冷えた飲み物やアイスクリームなど体を冷やすものにばかり手が伸びてしまいがちですが、飲み過ぎや食べ過ぎに気をつけたいものです。
(北山 恵理)