2018年03月07日

牛黄について教えてください

高貴薬の1つである牛黄。

高貴薬であるが故に誤魔化しが多いのも事実です。

1番間違いないのは製品になったものや粉末になったものを手に入れるのでなく、加工されていない品質の良い牛黄を手に入れて砕くこと。

寿元堂薬局でもそうしています。

そんな牛黄について、リビング新聞の漢方Q&A(2018/3/3号)の更新です。

はかせA.jpg

Q.牛黄について教えてください

 いつも牛黄を飲むと調子が良いのですが、先日東京で友人からもらった牛黄を飲むと少し気分が悪くなりました。牛黄が合わないことがあるのでょうか。(67歳、女性)

A.品質の良し悪しが効果に大きく影響

 牛黄は、牛の胆石を乾燥させたもので、昔から使われている動物生薬です。牛1000〜3000頭に1頭にしかできないといわれる希少なもの。1〜4p程度の球や三角錐(すい)、さいころのような形もあり、黄褐色をしています。

 鎮静作用、強心作用、利胆作用、造血作用、滋養強壮作用などがあり、漢方では、心臓病(狭心症、不整脈など)や肝臓病(肝炎、肝硬変など)の改善を目的に使われるほか、体力増強や疲労回復を目的としても重宝されます。

 古典には「久しく服すれば身を軽くし、天年を増し、人をして忘れざらしめる(長く飲めば、寿命をのばし、物忘れをしなくする)」と記されています。効果を知る漢方家が、高齢になると体調を維持するために持薬として飲むことが多いのも牛黄です。

 品質の良い牛黄は粉末にすると黄色みがかったきれいな黄土色をしています。多少品質が落ちても粉末にしてしまえば違いは分かりませんが、さらに品質が悪くなると色が汚くなり、黒みを帯びてきます。このような品質の悪い牛黄を飲んだときに気分が悪くなることがあるようです。

 ですから、ご質問の方は、牛黄が合わなかったのではなく、飲んだ牛黄の品質が良くなかったということでしょう。

 牛黄は一般に高価なため、ウコンやキハダなど黄色い生薬を粉末にして混ぜるなど、昔から混ぜ物で量を増やしたものが横行していたようです。

 最近ではこのようなことは少ないようですが、それでも牛黄の品質を保つのはなかなか難しいのは確か。どんなものでも高品質≠うたうご時世、牛黄に詳しくなければ良品を見分けるのは難しいものです。

 牛黄を含めて、漢方薬の品質は効果に大きく影響することがあります。長い期間飲んで効かなかったという漢方薬を持って来られた人に、同じ内容の薬の品質を良くしただけで効き出したこともあります。
 
 30年ほど前には生薬の品質にこだわる専門家が少なくなかったのですが、最近は日本薬局方という厚生労働省の決めた規格に合格すればよしとする傾向が見られます。国の規格に合えば品質が良いと思う人が多いようですが、品質を重んじれば、日本薬局方の規格は最低限の品質を保証する意味でしかないのです。

 牛黄は市販の医薬品にも使われ、心臟の薬、子どもの薬、栄養ドリンク剤、中国製の薬などにも配合され重宝されています。ただし、牛黄をそのまま粉末にしたものを利用すると、その効果をさらに効率的に引き出すことができると長年の経験から実感しています。

(北山進三)
posted by なつめ at 16:56| リビング新聞−漢方Q&A−

2018年02月24日

日本産生薬、例えば“当帰”

「当帰(とうき)」という生薬は、品質のよいものほど甘く美味しいんです。

補充をする際など、ついつい味見をしてしまうことも。

品質を知るためですから、師匠には怒られないはず…。
(師匠がみていませんように…。)

さて、そんな当帰について今週もリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(30/2/24号)

3d346009e645a3040a8e3be7b3e9bc90_s.jpg

近年、自治体やメーカーによって日本産の生薬(しょうやく)の安定供給を目指す動きがあります。

甘草(かんぞう)や柴胡(さいこ)、川芎(せんきゅう)、山椒(さんしょう)などがありますが、ここでは当帰(とうき)を紹介しましょう。

当帰はセリ科の多年草です。

その根を湯通しして乾燥させたものを生薬として利用します。

婦人科の症状によく利用される当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や温経湯(うんけいとう)などに含まれています。

昔から奈良県吉野地方で栽培されている「大和当帰(別名・大深当帰)」と、昭和になって北海道で栽培された「北海当帰」の2種類があります。

栽培しやすく収穫量が多いため一般に流通しているのは茎の青い北海当帰ですが、茎が赤紫の大和当帰の方が品質は良いとされ、味は甘みが強く、苦みは弱いのです。

交配しやすいため、上手に栽培しないといつの間にか交配種が成長してしまうこともあるようです。

さらに、似たような風土の別な地域で同種のものを栽培したとしても、同じ品質のものができるとは限りません。

実際に収穫しないと品質や生薬として利用できるか判断ができないという点も国内での栽培の難しさの一つでしょう。

顆粒(かりゅう)剤など手軽に漢方薬を飲めるようになりましたが、いざというときは良質の生薬を利用した煎じ薬で本来の漢方薬の効果を試していただきたいものです。

(北山 良和)

posted by なつめ at 17:10| リビング新聞−よもやま話−

2018年02月17日

生薬の組み合わせは無限

最近はお昼間は暖かい日が増えてきましたが、今年は雪がちらつく日が例年より多かったですよね。

年明けてから「寒いっっ!」ばっかり言っていた気がします。

今日2月17日は「天使の囁きの日」なんだそうです。

1978(昭和53)年、幌加内町母子里で氷点下41.2℃(っっ( ̄□ ̄;)!!)という最低気温が記録されたんだそうで、毎年この日に「天使の囁きを聴く集い」を開催しているんだとか。

天使の囁きとは、空気中の水蒸気が凍ってできるダイヤモンドダストのこと。

寒くても、キラキラ綺麗な天使の囁きを目にすることがあるならば、一瞬寒さを忘れてしまいそうな気がします。

ほんとに一瞬だけ。

さて、今週もリビング新聞の漢方よもやま話の更新です(30/2/17号)

b1fbe27cd47bf9bb11d92b6b10b5a26b_s.jpg

立春を過ぎても厳しい寒さが続いていますが、これからの時季、お肌の乾燥が気になるという人も多いのでは?

潤いを補うさまざまな漢方薬の基本となる薬の一つに四物湯(しもつとう)があります。

四物湯は当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、地黄(じおう)の4種類の生薬(しょうやく)で構成され、当帰、地黄は造血・鎮静・滋潤などの効果があり、芍薬、川芎は血のめぐりをよくし、余分な熱を冷ますものとされています。

貧血傾向で皮膚が乾燥し、色艶のよくない人の諸症状に用いる薬です。

四物湯が基になる処方をいくつか紹介します。

四物湯が適する人で、気力がない虚弱な人に用いる漢方薬には、四物湯と気力を補う四君子湯(しくんしとう)を合わせた八物湯(はちもつとう)があります。

さらに虚弱な人には、黄耆(おうぎ)、桂枝(けいし)を加えた十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)がよいでしょう。

また、アトピー性皮膚炎や慢性じんましんなどで肌に熱感があり乾燥している人には、肌を潤す四物湯と、熱を冷ます効能のある黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を組み合わせた温清飲(うんせいいん)を用いる場合があります。

このように、漢方薬は1つの処方からいろいろな処方が生まれます。生薬の組み合わせは無限にあり、今後も新しい処方が生まれるかもしれません。

(北山 恵理)

posted by なつめ at 17:00| リビング新聞−よもやま話−